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【月報】2024年4月

4月第1週。

日曜深夜11時過ぎの神田駅。電車に乗る。まばらに空く座席に腰掛けたぼくは南下していく。

あっさり着くだろうと思っていた上野や神田は意外と遠かった。上野公園や不忍池は花見客でごった返していた。人と埃と酒の匂いがしていた。

むかしの話に花咲く1週間だった。実はこうだったんだとか、あの出来事の後はそうなったのかとか。かつての誰かと自分に思いを馳せて感傷に浸る時間もあった。かといってそれらが後悔や愚痴にならず、いまの土台になっていることを確認し合い、これからについての不安や悩みもビール片手に笑いながら話せた(結婚・転職・NISA)。

「どこを目指してるんですか?」とふと訊かれた。いやぁ、何も考えてない。自分でコントロールしたいものもあれば、他者や世界に委ねて無計画に進めてみたいものもある。そのバランスを取れて楽しめるのが大人だと思う。

桜木町駅のホームに降りると、南風が運んできたのか磯の香りがする。ホームに人は少ない。明日は月曜だからガラガラなのかと時計を見ると日付が変わっている。また1週間が始まる。

BAR忘れてみたい夜だから、ありがとうございました。

4月第2週。

Podcastの配信準備が進む。自分の声を録音して、それを聞きながら編集するのは妙な気分になる。今までやったことがない作業だからだろうか。

文字は「そこに在る」。在るものを読むから、読むか読まないか自分で取捨選択できる。一定の距離があるから、文言や言葉を変えることが自由自在。単語を適切なものに更新したり、または文章の順番を変えて文脈を変えたりすることもできる。それが簡単だ。

でも音声は違う印象を受ける。音声は「影響を直接与えてくる」。受信側に作用してくる。勝手に耳を通じて脳に語りかけてくる。勝手に距離を詰めてくる。録音したものを聞き直すと「この言葉遣い違うな」「言い間違えたな」といったものが見つかるが、単語だけ言い直したり文章の前後を変えたりする作業は一手間ふた手間かかる。

文字に対しての能動性と編集の簡易さ、音声に対しての受動性と編集の難儀さをひしひしと感じる。そういった意味ではぼくは文字の方が得意なのだろうし、音声配信する時は台本を作った方が良いのだろう。

色々試行錯誤してみますね。

原宿文化。


4月第3週。


休みの日に恋人と夜な夜なコラージュを作る。この先の自分を想像しながら、雑誌から切り抜いた写真や図・文字を組み合わせて一枚絵を作る。

もともと恋人がコラージュなるものを教えてくれた。おそらく自己分析で使う手法なのでしょう。

たくさん集めた雑誌をペラペラめくりながら、気に入った写真をサクッサクッと切り取る。丸められたまま棚に突っ込まれていた2022年のカレンダー。その裏面白紙に切り取った写真を並べてみる。スッスッと並べ替える。

コラージュを作ると明らかになることがある。いま大事にしていることは? それらの優先度は? どんな写真や文字でどんな風に表現したい? 普段頭でぼんやり考えていることが目の前に現れてくる。

6畳の和室で黙々と作業すること2時間。最後にスティックのりでペタペタ貼る。「安上がりなデートだね」と深夜11時にお互い見合って笑う。コラージュの中央に貼った上裸の赤ん坊は、口紅を手にしたまま行く末を見つめている。

3年後の自分。

4月第4週。

日付変わる頃、桜木町駅の高架下を過ぎる。ランドマークを見上げながら海沿いを歩いているのに、空気が凪いでいるから舗道の草木の青々とした香りが鼻につく。

深夜のみなとみらいを散歩するのが大好きです。いまはロンT&ジャージズボンでちょうどいい気温。氷川丸もコスモワールドも灯りが消えて落ち着いている。何より人がいない。土日は混雑してて人波に揉まれるし、ましてや今週からGWだ、日中歩こうものなら人に酔って乱される。

歩く。職場でもらった試供品の缶ビールを家から持ち出したから、それを飲みながら歩く。

ホテルが立ち並ぶ。カーテンがついていないから灯りも人影も漏れ出ている。下から見上げていると、ある一室の窓にアルファベットの風船らしきものが見える。目を凝らすと「BIRTHDAY」とある。

汽車道を歩く。ベンチに腰掛けるカップルや散歩する若いメンズたちがいる。友情や恋情を育んでいる。街灯に照らされるツツジが濃い薄い混ざって咲いている。ようやく海風が吹く。

せつこさん(68歳)のお店で。

4月の振り返り。

ダンバー数って知ってます? ひと一人の交友関係は150人くらいまでだとする理論です。春は出会いやら別れやらの季節だから、新しく付き合う人が増えたり、いままで関わってた人と疎遠になったりします。その最中でバランス崩して這いつくばりながら生きています。炊事洗濯して、生活整えていきたいです。

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