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【月報】2024年2月

2月、第1週。

頭の片隅にある本のタイトルが思い浮かんでいた。読み返したいのに自宅で見つからず、実家でも見つからず。

この1週間で数度、「真面目にちゃんとやってくれ」みたいなことを立て続けに言われた。「真面目に」と「ちゃんと」。最も苦手な単語たちだ。

数度のうちの1つにライティングの仕事があった。自分で決めた〆切に間に合っていない。どないしよと考えながら、ひとまず自分のできることリストから「取材記事の作成」を消した。依頼されたことは取り組めないのかもしれない。ライターや編集者を本職にしなくてよかった。

今年の目標に、孤独と向き合わないといけない時間が増えるかも、と書いた。いま感じていることや考えたことを文字としてカタチに残しておくことで「ひとり」に向き合えるのでは、と仮説を立てた。だから週報を書いている。この文章だって3日前に設定した〆切原稿を踏み倒しながら書いている。どないしよ。

そんなとき、積み重ねられた本たちの隙間から『読みたいことを書けばいい(著:田中泰延)』が出てきた。すべてはタイミングらしい。とりあえず仕事を片付けよう。

週1で通うカフェ

2月、第2週。

静岡から友人が来て野毛で飲むつもりだった。だが彼女は急遽用事ができて来られなくなってしまった。致し方ないことだけど、やはりぼくは寂しくなったから行きつけのお店に単身乗り込んで朝4時まで飲んでいた。

恋人と内見に行って気に入った物件が翌日に契約されていた。貯金をしよう。そう決意した日に同僚と飲む。

大井町線では、スマホに表示したWikipediaの「各年代人気の名前ランキング」を覗き込むカップルがいる。女性のバッグにはマタニティバッヂが付いている。

ぼくの耳元では「女の業にまつわることに関してのジャッジメントはしたくない」とジェーン・スーが言っている。談志の「落語は業の肯定」を思い出す。談志って男なんだな。

忙しくなればなるほど、役割を与えられれば与えられるほど、何も考えずに前に進められる(または前に進んだ気になれる)。そういう時間を今は過ごしたくて過ごしている。

お気に入りの総菜に入っている卵が4切れから3切れに減ってしまった

2月、第3週。

ぼくにとってチョコは等しくチョコである。空腹の帰り道、板チョコを1枚買って歩きながらバリバリ食べるぼくにとって、チロルチョコもGODIVAも仏輸入もすべて甘くて美味しい大好きなお菓子である。たまにカカオ豊富で苦いのもあるけど。

過去のバレンタインディに、高級感たっぷりの装飾や彩りのチョコや、頑張って作ったであろうお手製チョコをいただいたりもした。「美味しいなぁ」と食べたはずだけれど、誰がどんなチョコをくれたのか全く覚えていない(ごめんなさい)。むしろ、保健室の先生が哀れな男子高校生たちに用意してくれたアソートチョコや、恋人がくれた板チョコ1週間分の方がよっぽど印象深い。

いままでバレンタインチョコをくれた方々に白状なやつだと思われても仕方ない。だけど君だってぼくがホワイトディに何をあげたか覚えていないだろう?どうせ別れて疎遠になってしまえばそれまで。チョコは単なるお菓子である。

でも「チョコ」を送り続けてくれる人もいる。別に毎日思い出すわけじゃないけど、時たま脳裏に浮かぶ面影。様々な時間を過ごした結果出来上がった関係。

この1週間は日々好きな人たちとやりとりした。過去のインスタ掘り返してスクショ送ってきたり、就職報告してくれたり、普段職場で見ない表情を見たり、銀だこ居酒屋でほろ酔いになったり、ZINEを作ろうと改めて誘ってもらったり、おそらく酔っ払った勢いで飲みの誘いしてきたり、誕生日祝いにスタバギフトを贈ったり。10年もぼくを「しだぽよ」と呼ぶのは君だけだぜ。引き続きよろしくです。

ぼくにとってチョコは「チョコ」である。いつもらっても嬉しいし、いつ渡しても好いものです。

恋人がくれた今年のバレンタインチョコ

2月、第4週。

いまは相手の目を見て話せるようになった。ひとりっ子のぼくは家族や幼馴染に対してはよく話す一方で、クラス替え後の隣人や久しぶりの親戚にはそっけなかった。

想いは言葉に載せるけど、視線にも載せられる。ときに何よりも雄弁で。気恥ずかしさはある。目を合わせると気持ちを見透かされる気がする。それを隠したいとき視線を背ける。

週末実家に10分ほど帰る。保険の申請で息子の免許証を撮影しなくてはいけないのだと、父からSMSが送られてきた。まだLINEをスマホに入れていない。

父は顔は向けてくれるが目を合わせてくれない。母とは生活の愚痴や相談を受けるが、父とそういった会話はしない。昭和に東北のド田舎に生まれ、平成を半公務員として駆け抜け、令和で定年退職した。愛があり優しいことは知っている。

牛丼冷凍パックを60袋買ったらしい。発注ミスかよと思わずツッコむ。よければ持って帰りなと照れている。今日は一日外出してしまうからまた今度取りにくるね、と伝えて玄関に向かうと父は着いてくる。玄関を開けて振り返ると、でも父と視線は合わない。またな。彼の顔を見つめながらぼくは玄関を閉めた。

交わる視線

2月、振り返り。

せわしない日が続きます。年度末差し掛かっているし。天候もあわただしい。そんな中、仕事で日報も書いているのだけど、この月報も含めてぼくの文章を読んでいる人がいるのだろうかと思いつつ、でも誰か読んでくれているだろうと思いながら書いています。100人に1人くらいはぼくの文章を好きと言ってくれる人がいるかもしれない。なんの100人かはわからないけど。来月は誕生日月。いい誕生日を迎えたいです。

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