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【月報】2024年6月

6月第1週。

Hey Siri、次のURL内の文章を140字以内で要約して。


「はい。目が覚めると深夜2時20分、カーペットの上で寝落ちしていた。恋人の家で残業後にズッキーニ料理とシャンパンを楽しみ、酔いながら引っ越しの話をして寝てしまった。目が冴え洗い物をしていると恋人が起きて「朝でいいよ」と言う。シャワー後、パンツを忘れたが恋人が買ってきてくれた。午前4時、お互い好きなことをしながら過ごし、これから役所へ婚姻届を出しに行く。」

Hey Siri、ありがとう。行ってきます。

結婚指輪ならぬ結婚器

6月第2週。

今住んでいる家屋は築50年の木造で、この時期から湿気がこもり始める。湿り気は心を閉ざしがちにする。雨も増えてくるから陽が部屋に入りにくくなる。暗くなる。

家が暗いと鏡を見る習慣がなくなる。鏡を見ても自分の顔が正しく見えないからだ。一方、ジムの更衣室が明るいのは自分の肉体を点検したり繁々眺めたりしたい人のためである。

自分の顔を久しぶりに見つめる。両目の下に黒いクマ。瞼のカサつき。下顎に髭の剃り残し。髪に白いものが混じる。3、4年前から比較すると、明らかに額の皺が深くなった。年齢を感じさせる大きな要因だ。

次に体に目をやる。ところどころ掻いた跡が赤い。久しぶりにプールで泳ぎ、その後風呂に体を沈めたから血行が良くなりすぎた。見つめると肌が感じるよりも痛々しく思える。

3Dプリンタの成果

6月第3週。

エモさを感じるられる人は、それを経験したことがある人だ。現世であろうと前世であろうとその情景を見て心を動かされた過去があるから、「エモい」と感じられると思う。(もしかしたら来世であろうと?)

この時期はそんな情景が増える。陽が延びる。雨上がりの匂いがする。夏が近づく。すると、何かを喪った気持ちになる。彼岸もあるだろうけど、「いっときの思い出」が夏に多いからかもしれない。戻ってこない幼きロングバケーション。

いまの世界を生きることと、あったかもしれない別の世界を夢想することは両立する。地続きに見えてすっぱり隔たりを作れる。その世界同士に無理に橋をかけようとするとき崩れるがちになる。目の前にある絵画を3Dでその場に出現させようとするもので、お金や時間と技術をかければできるかもしれないが、途方な労力がかかる。

あの言いようのない懐かしさは、その出来事自体への懐かしさではなく、それをいま得ようとしても世間的に・道徳的に・法的に・対人関係的に得ることが難しく、諦めなくてはいけない歯軋りなのだろう。「えもいわれぬ」というのは懐かしさに対する歯軋りだ。

君のギターで歌いたい

6月第4週。

自分の年収を伝えるとドン引きされる。え、全然もらってないじゃん。

毎年部署なり役職なり役割なりが変わってきた。同じ仕事を1年以上続けたことがない。薄給の小売業界でスーパーゼネラリストになるものではないよ。

年収=価値とされるサラリーパーソン蠢く資本主義社会で、ぼくはもう10年近く這いつくばっているわけだが、言わずもがな、やさぐれている。不貞腐れている。1年たたず仕事が変わっていると、自分が必要とされているのはあくまで期間限定だというマインドセットになってくる。苦々しく、毛嫌いしたくなる精神衛生環境だ。積み重なった垢や汚れをハイターとオキシクリーンでスッキリさせたいが、水回りの掃除は面倒くさい。

お金がないと悲しくなる。選択肢が少なくなって可能性が狭まるように感じるから。受験に育てられたぼくらにとって、幸福の度合いに選択肢の数に比例する。「彼氏のイケメン度 結婚指輪Tier表」を見つけてしまってぼくは枕を濡らしている。えーん。

ドン引きされると、「だよなぁ。ムカつくよな」と「そういうもんだよ」が脳内に同居する。そういう状況に持ってきてしまったのは自分の決断や行動の連続の結果ですからね。そういうもんだよな。

元凶


6月の振り返り。

泳いで、風呂に入ることが大事だと感じた6月でした。水の中でいることがぼくには必要です。陸は重力のせいで重すぎる。浮力の力でぼくは調子に乗って前へ進める。婚姻届を出したので水辺が近い家に引っ越します。あと二子玉川のプールに通おうと思います。

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