私、企業の経営理念を見たり、社長の挨拶文を読んだり、中期経営計画をみたりするのが好きだなぁ~と前から思っていました。
謎の趣味ですよね(笑)
普通、就活生でもない限りそんなのを好き好んで見ることはないでしょう。
それらは形式的なものに過ぎないと思われがちですから。
しかし、最近判りました。
私は言葉に興味があるから、それらにも興味があるのだと。
経営理念、スローガン、中期経営計画、タグライン、社長の言葉・・・これらは経営において重要な役割を担う言葉たちです。
言葉によって、思想、信念、計画、方向性、心構えなどなどを表し、統制している訳ですから。
そこで、経営における言葉について着目・研究してみましたのでそのレポートをさせて頂きます。
今回は総合商社を取り上げてみたいと思います。
(1)三菱商事 ①経営理念:「三綱領」
三菱商事には三網領という「創業以来の社是」があるようです。
やっぱり、昔からある、「由緒正しき」言葉っていうところがポイントですね。
歴史ある企業にしか持ちえない、イメージ資産ですね。
3本の柱は以下のようなものです。
所期奉公
処事光明
立業貿易
やはり総合商社ということで、地球規模・宇宙規模の視点を持つことを言っていますね。
(1)三菱商事 ②社長の言葉
ここで、社長のメッセージを見てみましょう。
社長のメッセージには、三菱商事の代表として、三菱商事がいま時代をどう見ているか、捉えているか、そしてどういう心がけで経営・対応していくべきかについての意見が盛り込まれているので、観察することは非常に有益と考えます。
2023年4月の中西勝也社長のメッセージの抜粋です。
まず、注目したいキーワードは、「先を見通すのが難しい」です。
やはりコモンセンスとして、先を見通すことが難しい時代であることが窺えます。VUCA的な時代観が一般化しているということかと思います。
次に、EX(エネルギー・トランスフォーメーション)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)です。
○○トランスフォーメーションという言葉です。
つまり、いろいろとトランスフォームしないといけない時代であるということを示唆していると思います。
最後に、MCSVです。
三菱商事の中計(2024年)によると、MCSVとは
とのことです。
注目したいのは、共創という概念です。
三菱商事の巨大な力を以てして事を成すみたいなことではなくて、ステークホルダーとインタラクティブに創っていくというニュアンスを感じます。
共創という概念は他の分野でもトレンドだと思います。
例えば、テレビ局とyoutuberにおけるコンテンツ制作方法を比較してみます。
youtuberって、視聴者のコメント、高評価/低評価ボタン、などなどを受けて、企画を調整したり、新たな企画を立てたりしますよね。
つまり、視聴者と共に創っています。
一方でテレビ局はそういうインタラクティブ性はあんまりありません。
(多少はあると思いますが。)
他のシーンでもこういう傾向はあると思います。
もう権威的なものは流行らない。
権威より、インタラクティブで民主主義的な方が発展していくのかもしれません。
(2)伊藤忠商事 ①経営理念
伊藤忠商事の経営理念は「三方よし」です。
これは有名で、かなり一般化されていると思います。
いろんなところで使われているのを目にします。
今風に言うならば、「Win-Win-Win」かと思います。
商売の本質を捉えていると感じて、好きです。
関わった人が全員幸せになるなんて、なんて素敵なんでしょう!
いろんなシーンで応用できそうな言葉ですよね。
シンプルだけど、深くて力強い・・・。
世の中を渡っていく上で指針にしたくなる言葉です。
また、日本語である点もいいですよね。
輸入された概念とか言葉じゃなくて、
ちゃんとアイデンティティというか、受け継がれてきた感が出る。
考えれば考えるほど味わい深い。いい言葉だ・・・。
(2)伊藤忠商事 ②企業行動指針
これもまたすごいんです!
「ひとりの商人、無数の使命」
すごい、カッコ良すぎる!
でっかい企業だけど、ひとりひとりが商人としての自覚を持っている感じがする・・。それに、大企業の一員じゃなくて、一人の人間として向き合ってくれる感じがする。
そして「ひとり」に対比させて「無数」の使命。
なんかもうこれ以外は考えられないくらいに言い当てている気さえします。
日本における総合商社の手がけるプロジェクトって、不毛地帯で描かれているように、(時代は半世紀くらい違いますが・・・)国益に関わるような大きな仕事だと思います。ある意味、国家公務員みたいな・・・。
だから、使命っていう言葉がピッタリですね。
▼ご参考:不毛地帯の感想文です。
三方よしの解説をホームページから抜粋しました。
ちゃんと、経営理念の「三方よし」とも関連付けて表現されていて、すごいなと思いました。
(2)伊藤忠商事 ③代表取締役会長CEO 岡藤正広氏のご挨拶
岡藤会長のご挨拶も拝読してみました。(2023年5月9日付け)
まず、伊藤忠は業績が良いということ。
それは「稼ぐ」「削る」「防ぐ」という精神の実践結果であること。
今後もそれらに加えて「利は川下にあり」の精神を継続していくことなどが盛り込まれています。
とても興味深いキーワードが出てきました!
(2)伊藤忠商事 ④「稼ぐ」・「削る」・「防ぐ」
下記のような精神のようです。
これまた含蓄のある言葉に出会いました・・・!
やはり徹底して商人マインドを醸成しているのですね。
「稼ぐ・削る・防ぐ」
いろんなシーンに応用できそうです。
(2)伊藤忠商事 ⑤「利は川下にあり」
更に更に興味深い言葉を目にしました。
「利は川下にあり」
岡藤会長の言葉の中にこの解説も含まれていました。
先程、三菱商事の共創の話の中で、書いたことと同じ話題だと思います。
「利は川下にあり」=「消費者に主権が移っている。」
ということです。
掘れば掘るほど、伊藤忠の商い精神が湧き出てきますね。
さすが伊藤忠です。。。
(3)三井物産 ①社長挨拶(2023年4月)
「挑戦と創造」が経営理念のようですね。(経営理念としてはっきりと書かれていなかったので、推測です。)
(3)三井物産 ②ロゴと社名表記
2014年から、「三井物産ブランド・プロジェクト」というブランディングプロジェクトを展開しているようです。
社名表記を「MITSUI & CO.」に統一したと言います。
これも即ち、共創の精神ではないでしょうか。
(3)三井物産 ③コーポレートスローガン「360°business innovation.」
やはり、共創てきな精神と推測します。
おわりに
日本の諸産業をリードする総合商社。
その言葉はどれも含蓄があり、これからの未来を拓く力強さがあった。
また別の企業・切り口でも研究したいと思います。