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七味さやのフォトエッセイ

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現在地を記録するために、写真とともに日々考えていることを綴っていきます。
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#写真

「あの日」のこと

* わざわざ見に行かなくても、近所に梅が咲く季節になった。久しぶりにCanonを持ち出して撮ったら、なんだかピンぼけした写真ばかりになってしまった。 今日は3月11日。4年前に大学生だった私は、「それ」が来たときアカペラサークルの練習に行こうとして姿見の前で化粧をしていた。 揺れがだんだん大きくなり、さすがに怖いと感じて机の下に逃げ込んだ次の瞬間、鏡と本棚が化粧をしていたまさにその場所に倒れて重なった。その直後にものすごい横揺れになり、机の下から投げ出されるかと思った。

あなたなら、どんなポートレートを撮りますか?〜福岡在住フリーモデル・圭子さんの撮影を通して感じたこと

写真が大好きで4年半ほど撮り続けているのだけれど、特に人間を撮ることがずっと好きだった。美術部だった高校生時代、油絵に描いていたのはいつも人だった。友達だったり弟だったり自分だったり。なんとなく、人を描くってことだけはポリシーみたいに決めていた。その時は理由なんて考えたことなかったけど、それくらいに人に興味のある私がポートレート撮影をするようになったのは自然なことだったように思う。 先日初めてお会いするモデルさんとポートレート撮影を行った。 福岡県を中心にフリーモデル活動

追悼とフォトブック。「写真を記録する」ということ

この世からいなくなった瞬間に永遠になる。 * 親戚の犬が亡くなった。 おじいちゃんとおばあちゃんが落ち込んでいるとのことだったので顔を出した。その時に、しまうまプリントで簡単なフォトブックを作って渡してみた。あまり写真が無かったので、過去に撮影したものをなんとか引っ張り出して構成した。 これを作ろうと思ったのは、入籍の時に撮影した家族の写真を贈ったらとても喜んでもらえたからだ。「暇な時はつい何度も読んでるよ」と言ってもらえて、情緒的な写真を撮るねと何度も褒めてもら

いなくなった時は、後悔ばかりだ

親戚の犬が亡くなった、と報せを受けた。 動物好きなので犬には大抵好いてもらえるのだけど、あの子は珍しく初めて会った時に噛みつかれた。 その後会う回数を重ね、慣れたと思ってからも撫でさせてくれなかった。 犬らしくない、いつもふてぶてしい態度。 それでもやはり仲良くなりたくて、いつも一歩離れたところからあの子を観察する…という不思議な距離感だった。 ちょうど1年前くらいに撮った写真たち。 まともな写真がほとんど残ってなくて、もっと撮ってあげれば良かったなぁ。フィルム写真も