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子どもの心と脳がいきいきとする、寝る前のやさしい言葉がけ

長い夏休みもようやく終わりが見えてきましたね。子どもと一緒にいる時間が増えて、「夏休みは叱ってばかりだったな…」と反省している親御さんもいるかもしれません。

「子どもを叱りすぎているな」と心当たりのある方は、寝る前の数分だけ、笑顔で子どもに向き合うことを習慣化してみませんか?


●慢性的なストレスは、思考や創造性を妨げる

「早く着替えなさい」「ちゃんと食べなさい」「どうして片付けないの」――親がついつい言ってしまいがちな小言です。

しかし、もしも皆さんが、職場で上司や先輩から、「どうしてこんなことができないんだ」「もっとちゃんと書類をまとめなさい」「早く資料を作りなさい」と、終始言われたらどう感じますか?

脳の中には偏桃体という部位があります。ここは感情・情動をつかさどっていて、不安や恐怖を感じると活発に動き、危機に対処するように神経細胞に指令を出しています。とくに慢性的にストレスにさらされ続けると、偏桃体は肥大し、わずかなストレスでも過剰に反応するようになります。

偏桃体が活発になると、一方で動きが鈍ってくる部位があります。それが、思考や創造性、プランニングや推論などをつかさどる前頭前野です。

大きなショックを受けた時に、頭が働かなくなるような感じがすることはありませんか?それは、偏桃体が活性化し、前頭前野の働きが低下するからです。

小言を言われ続けて嬉しい人はいないはずです。小言を言われ続けていると偏桃体が働きっぱなしになり、考えたり創造したり計画を立てたりする脳である前頭前野の反応が鈍くなってしまうので注意が必要です。

●1日の最後は、やさしい笑顔で生きた言葉を穏やかな口調で語りかけよう

偏桃体の働きを鎮め、前頭前野を活発に働かせるにはどうすればよいでしょうか。以下にあげる3つの方法が効果的です。

・「生きた言葉」をかける
・笑顔、やさしい表情、穏やかな表情をなげかける
・穏やかなトーンでやさしく話しかける

偏桃体は心地よさを感じたり安心したりすると鎮静化するので、認めてほめる「生きた言葉」をかけましょう。

また、偏桃体は顔反応細胞という細胞をもち、人の顔の表情に影響を受ける性質があり、やさしい笑顔など好ましい表情を見ると鎮静化します。

それから、声にも影響を受けるので、穏やかなトーンでやさしく話しかけると偏桃体も落ち着いてきます。

子どもが寝室に行ったら、毎日、心からの笑顔で子どもをやさしく見つめ、生きた言葉を穏やかな口調で語りかけてみてください。

「よく生まれてきてくれたね、ありがとう」「お母さん(お父さん)は、あなたのことが大好きだよ」「今日は良いお返事ができていたね、えらいね」

このような生きた言葉を、毎日寝る前に聞くと、子どもは親から愛されていることを実感し、安心して眠ることができます。

朝から晩まで一緒に過ごしていても、小言ばかり言って、笑顔で子どもと接する時間がないのであれば、良い子育てとは言えないかもしれません。子どもが寝る前の1日3分、それが無理なら寝る直前の10秒でも、やさしい眼差しで子どもを見つめ「生まれてきてくれてありがとう」と感謝の気持ちを言葉で伝えてみてください。