サルでもわかる資産運用② 市場には季節がある?
前回の記事で、インフレ対策のためにも投資をする必要があることを伝えました。でも、具体的に何にどのように投資をすればよいの?という疑問があるだろうと思います。
投資といえば何が多い浮かびますか?株式、仮想通貨、FX?国債なんていうのもありますし、投資信託やETF、あるいはウイスキーやスニーカーのような物への投資も聞きます。
「投資が必要ならオレはネットフリックスの株でも買おうかな」「今ビットコインが買い時かも」いやいや、ちょっと待って。
それでは、木を見て森を見ずになって、大損してしまうかもしれません。
さてそこで、まずは市場には季節があるという考え方を紹介しましょう。
レイダリオの考える市場の4つの季節
レイ・ダリオはアメリカ合衆国の投資家・ヘッジファンドマネージャーです。 1971年にブリッジウォーター・アソシエイツという資産運用会社をニューヨークで創業し、2013年には世界最大のヘッジファンドになりました。このファンドでは、2021年時点で1,000億ドル以上(13兆円以上)の資産を運用しています。
レイダリオは市場を4つの季節に分類できると考えました。それは以下のとおりです。
インフレ期
デフレ期
経済成長期
経済停滞期
この4つの季節は四季とは違って、どの季節の次にどの季節が来るのか決まってるわけではありません。そして、次にどの季節が来るかを予想するのもとても難しいものです。
この4つの季節は考え方しだいで、もっと細かく分類することもできます。日本の四季も春夏秋冬よりも細かく、立春、雨水、啓蟄、春分…というように24の季節に分ける考え方もあります。ですが、私たちはプロのアナリストではありませんから、大ざっぱな4つの季節でいったん理解をしておきましょう。
季節と連動する資産
さて、市場を4つの季節に分類したとき、それぞれの季節において強みのある資産とそうでない資産があります。逆にいえば、どんな時でも最強の資産というのはありません。
4つの季節と、それに対応した資産の組み合わせをいかにしめします。
インフレ期 : コモディティ、金、米国物価連動国債(TIPS)
デフレ期 : 長期米国債、株式
経済成長期 : 株式、社債、コモディティ、金
経済停滞期 : 長期米国債、米国物価連動国債(TIPS)
はじめて聞く名前も出てきたかもしれません。それはのちほど解説します。
もし、今がどの季節であるか、次の季節が何であるかわかるなら、それぞれの季節で強みとなる資産を買っていけばいいですよね。しかし、それを予測するのはプロのアナリストであっても難しいのですから、素人の私たちには無理といっても過言ではありません。
では、どんな季節であっても最小のリスクで最大のリターンを生み出す投資を実現するには、どうしたらよいでしょうか?
それは次回以降に解説していきます。
用語解説
コモディティ
モディティとは商品のことです。例えば、トウモロコシや大豆といった穀物や金属、石油やガスのようなエネルギーなどがコモディティになります。これらの商品は、人々の日常生活に欠かせないものであり、世界中で需要があります。
金
金は貴重な金属で、コモディティの一種ではありますが、すこし特別な資産でもあります。その昔には金本位制の時代があり、通貨としての役割もありました。今では通貨としては扱われていませんが、通貨の信用が下がった時には金の価値が代わりにあがります。金を買っても利子は付きませんが、通貨が使えなくなるようないざというときのためや、長期的に持っておくと価値が高まる資産として人気です。
株式
株式を購入するとその株式会社を自分の持ちものにすることができます。例えば、100株発行されている会社の株を1株買うと、その会社の1%を所有していることになります。会社が成長すると、利益の一部を配当としてうけとることができたり、会社の価値がふえたことで買ったときより高く株式を人に売ったりできます。
社債
社債とは、企業が資金調達のために発行する債券のことです。債券は、お金を貸してもらった企業が、そのお金を全額返さなければならず、さらに定期的に利払いをすることを約束するものです。
社債を買う人は、企業から定期的に利払いを受け取って、その利払いを自分の収入とすることができます。
企業が成長しているかにかかわらず、利子を受け取ることを約束されているので、株式よりもリスクが低いといわれています。
長期米国債
国債とは、国が発行する債券のことです。国債は、国が資金調達するために発行し、ある期間が過ぎたら元本(投資家が預けたすべてのお金)に利子を足して返すことを約束した債券です。国は調達した資金で、道路の建設や、社会保障の費用などに利用します。投資家は国債を購入することで、国に投資をすることになります。国家が倒産する可能性は企業が倒産するよりも低く信頼できるので、人気がある投資商品です。
米国債とは米国が発行する国債のことです。日本が発行する国債は日本国債です。
国債には元本と利子がいつ返ってくるかよって種類があります。1~2年で返ってくる国債は短期国債、10年、30年といった期間で返ってくるものを長期国債といいます。一般に、遠い未来ほど不確実で予想しづらくなるので、長期国債の方がリスクが高く利回りも高くなります。
米国物価連動国債(TIPS)
米国物価連動国債 (TIPS) は、米国政府が発行する債券の一種です。この債券の利払いは、米国の物価指数(CPI)と連動して、同じように上がったり下がったりします。
たとえば、米国の物の値段が上がったら、利払いも上がります。逆に物の値段が下がったら利払いも下がります。
このため、米国物価連動国債はインフレに対して、保証された利回りを提供することができるのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?