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世界の彩りに包まれて -『色づく世界の明日から』

色をテーマにしたアニメ。それはとても挑戦的な作品であると思う。アニメは絵の繋がり、色は当たり前に不可欠な要素となる。その「色」をテーマにすると、当たり前であったものを意識して鑑賞する。だからこそ、そのクオリティは普通以上でなければ良い作品とみられるのは難しい。

『色づく世界の明日から』は「色」がテーマだ。もちろんそれだけではなく、魔法や青春ストーリーというテーマもあるが、タイトルにも入っている「色」こそが重要だろう。

通して観たシンプルな感想は、とにかく綺麗だと思った。色使い、作画、ストーリー、見た後にスッキリした気持ちになった。特に素晴らしいのがオープニング映像だ。

Prime Videoで視聴したので、もちろん「イントロをスキップ」と右下に現れるのだが、完全スルー。それどころか、毎回鳥肌がたってしまっていた。このリンクの公式映像にはキャプションがついていないのだが、この映像はもちろん、キャプションのレイアウトやトランジションまですべてがとても美しいのだ。鮮やかに色が入るシーン、皆が走り出すシーンで鳥肌ぞわぞわ。

ストーリーは展開が激しくはなく、フラットに続いている感じなので、好みが分かれそうな作品ではあると思った。でもその中で、考えることは多くあった。そこに色があること、大切な人を大切に思うこと、大それていないストーリーが大それていないしかし忘れてはいけないことを教えてくれた。

この作品の中では写真を撮るシーンが度々ある。私はイッチョマエのカメラを持っており、写真を撮るのが好きだ。それゆえ、これらのシーンでは、自分がどう写真を撮りたいのかということも考えていた。写真の撮影やレタッチにおいても、その1枚の色や世界観にはこだわりが現れる。もっと世界を見つめなおし、写し出すことを突き詰めていきたくなった。

とまあ話はそれたのだが、良い作品に出会えて心が洗われた。色々なアニメを見る中で、人の闇を映し出すことが人間味を感じさせられる良い作品になるという価値基準が形成されつつあるのだが、この作品のように鮮やかな色を美しいと思えるような、素直に綺麗な作品も素晴らしいと改めて思った。

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