『JOKER』は音楽好きにこそ観てほしい(『JOKER』をあじわう3曲)

こんにちは、トライバルメディアハウスのちろうです。

久しぶりに音楽についてのnoteを書きます。


『JOKER』という映画

うまく言葉にすることができませんが、今までのあらゆる芸術もしくは娯楽作品が光を当てることのできなかった場所に、間接照明みたいな薄明かりを置いたような、大半の時間を暗闇への恐怖を抱きながら、その切れ目から漏れる明かりの暖かさを感じるような映画でした。伝わるといいのですが。

ポピュラーソングが心に響いてくる映画

この映画のために拵えられたBGMも素晴らしいのですが、むしろそれが素晴らしいからですが、ポピュラーソングが随所に流れます。

その使い方が絶妙で、今まで耳で聴いていたポピュラーソングたちを、心で聴かせることに成功しています。

そういう点で、僕はこの『JOKER』を、音楽好きにこそ観てほしい映画だと思っています。

『JOKER』をあじわう3曲

それがどういうことなのか、少し伝わるように、『JOKER』をあじわう3曲を選んでみました。

White Room / Cream

タイトルや歌詞が、物語と非常に強く結びついています。

I'll wait in this place where the sun never shines
Wait in this place where the shadows run from themselves

まさに「ゴッサム」を思わせる描写。

Arthur / The Kinks

この曲は劇中では流れていませんが、主人公の「アーサー・フレック」がどうしてもこの「アーサー」とだぶってしまいます。

このキンクスのアルバムは、この曲の「アーサー」の一生を曲ごとに追っていくというコンセプトアルバムです。

Arthur was born just a plain simple man
In a plain simple working class position
Though the world was hard and its ways were set
He was young and he had so much ambition
All the way he was overtaken
By the people who make the big decisions
Arthur we know and we sympathize
Don't ya know it, don't ya know it
Arthur we like you and want to help you
Somebody loves you don't you know it


That's Life / Frank Sinatra

僕は『JOKER』をはじめて観た日から、毎朝起きた瞬間にこの曲を聴いています。

どなたかが、「シナトラはどこかに寂しさを感じさせる」と評していましたが、僕は、シナトラの歌声の、どこにも寂しさを感じさせない平板さが、逆に彼の抱いている寂しさを浮き彫りにしていると思います。

シナトラ自身が光と影を持った人物で、この『JOKER』に文脈的に耐えうるほぼ唯一の歌手。

シナトラを、そしてこの曲を、よく選んだなあ。

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