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合宿免許④-2 【決断】

幸い祝日だったこともあり、
「オートマに変えようかな」というLINEには親からすぐに返信が来た。

「あなたにはオートマが合っている」
「マニュアル乗る日なんて来ないよ」
「お金が損したなんて気にせず自分次第で」
(※マニュアルよりオートマの方が安い。)

親は選択を尊重する言葉をかけ続けてくれたが、少しずつでも進んでいる実感があった手前
とても悔しかった。

(通いにすればよかったのかな)、(はじめからオートマにしてればこんな思いせずに済んだ)
と考えても仕方のない後悔に思考を巡らせた。

(この間まで高校生だった子も出来てるのに)
全く意味のない他人との比較。

(こんなに応用と融通が利かなくてこの先やっていけるのだろうか)
思考は完全に悪循環に陥った。

その間も
「人には得意不得意がある」
「気にしない力を身につけた方が良い」
とめどない親からの追加LINE。

(変更して、悔しさが残ったまま今後の合宿生活を送るのか?)
大きく葛藤した。


次の技能講習まで残り5分。






圧倒的敗北感と悔しさにまみれた顔の上になんとか即席の笑顔を貼り付け、受付に向かった。

免許合宿を本当の意味で理解していなかったんだと思う。自分を買い被っていた。
どこかで合宿に来ればすぐに乗れるようになると思っていた。自分の成長速度で乗れるようになるには合宿期間はあまりに短かった。

「俺、オートマにします。乗れる未来が見えないんですよねー、なんか技能待ってる間もずっと心臓が痛くて、、、笑」
絞り出した言葉。

そう告げると受付の奥からも沢山の人が出て来て、次々とフォローの言葉をかけてくれた。
「心臓のためにも変えて正解だよ笑」
「変える子も全然いるんだよ」

(急な大人数の優しさは今辛いからやめてほしい。)

今後誰かにもし聞かれることがあれば、
"メンタルケアに優れた合宿所" として紹介しよう。

こうして、マニュアル免許取得計画は、たった1日の歓喜を経た後、断たれることとなった。

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