パオラ・レンティの自然の解釈

合成繊維を利用したアウトドアプロダクトを軸に展開するパオラレンティは非常に先鋭的な色遣いでとても印象的だ。

近年、脱プラがEUを中心に進んでいますが、彼らは天然素材に手を伸ばすのではなく、如何にリサイクルするかに焦点を当てているようだ。

カンパーナブラザース、ネンドとのコラボレーションが目を引いた。

オリジナルテキスタイルの製造工程で出てしまう端材を利用してできたファブリック。ファブリックは合繊のため、ほぼすべての家具は屋外対応となっている。

芋虫のような、アメーバのような印象を受ける。

約50x50cmを基準サイズに、繊維端材を集め、刺繍している。それらを張り合わせパッチワークとしている。色遣いが非常にきれいである。

7本の脚が伸びる巨大なソファー。遊具としても使えそうだ。実際にプレゼンテーションのビデオも子供たちが遊んでいる風景が流れていた。

苔のような、イソギンチャクのような。。。


室内での展示に目を移してみよう。
天板は、ラーバストーンにガラスサンプルを釉薬として利用したものである。廃棄されるはずのガラスを意匠として取り入れている。オールグリーンの空間に差し色でこげ茶のウッドローテーブルが差し込まれ、グリーンの天板はまるで植物の葉緑体の様である。

基本的にパオラレンティの使用するファブリックは化繊なので、ローテーブルが唯一の天然素材でできたプロダクトである。

上記の写真と同じように、緑の空間であるが、グリーンのトーンに幅を持たせている。中央のローテーブルが存在感を示している。

この天板はまるで、翡翠を割ったような印象を受ける。

グリーンから一転して、ライトブルーを基調とした空間。軽やかでさわやかなイメージである。

やはり中央のローテーブルがひときわ目立つ。どうやらパオラレンティは、ラーバストーンとガラスの釉薬でできたローテーブルを中心に全体の構成を考えているようだ。

ここから、彼らの考える「自然」を考えてみようを表す。

釉薬のコントロールは非常に難しく、きっちり指定の色に合わせることは困難とされている。また、ガラスをリサイクルしているのもあり、鉛の含有量の違いで瞬く間に色の振れ幅は大きくなる。つまり、二度として同じ柄は現れないと考えて良い。これらの柄はある意味自然任せである。

ここに、彼らの考える「自然観」が見え隠れしているように感じる。また、化石のような、翡翠のような、アメーバのような、葉緑体のような柄にすることで、彼らの自然観を強固なものとしている。おそらく、意図的にやっているのだろう。

この天板はまるで、アメーバが細胞分裂しているよう。


これは、化石が埋まっているようにも見えます。


この天板も何か埋まっているようですね。

このローテブルはまるでアンモナイトのようだ。
ガラス天板の脚もまるで、アメーバみたいな形である。

ジャングルの中にある沈水植物で覆われた溜池の様である。そこに蓮のようなお皿が配膳されている。藻ですね。

彼らのムードボードはカラフルな自然の風景で一杯なのだろう。

彼らのほとんどの商品は化学合繊を主材としているため、デザインのアウトプットでは、なるべく自然を連想させるように心がけているようだ。化繊は自由自在に色の調整が可能なのに対して、テーブルに表現される、いわゆる“自然素材”は不確定要素が大ききく、最後の仕上り具合は、自然のさじ加減で決まる。

テーブルのデザインが主要アイテムとなり、それをベースとして周辺のファブリックを決定して、空間構成を行っていると読み解くことが出来る。


ネンドがパオラレンティのためにデザインしたスツールを紹介する。

まるで、パッチワークでできた得たいの知れない生物といった印象であり、愉快なプロダクトだ。
製造方法もネンドらしく非常に合理的である。

パッチワーク状にすることで、小さい生地の張り合わせで製造が可能である。つまり、大型ダクトを生産した後にどうしても出てしまう、「端切れ」を使用することが可能なのだ。

また端切れ同士も、熱接着でバチンとプレスするだけで接着させています。
化繊からこそできる非常に合理的な方法です。

またプレスした時に現れるパターンも、桿菌のようにもゾウリムシのようにも見えますね。さすがネンドです。 

端切れを、プレスによって繋ぎ合わせる。
ランプシェード 足が生えていて生物の様
まるで微生物が渦巻いている様


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