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線路跡地のまちづくり〜下北線路街〜

線路跡地でのまちづくりはご存知でしょうか?
昨今、踏切解消のために各鉄道会社が線路の高架化や地下化を実施しています。このことにより踏切が解消されるだけではなく、事業によって誕生した線路跡地を活用したまちづくりが可能となりました。
今回は小田急電鉄の下北沢エリア線路跡地のまちづくり「下北線路街」について紹介していきます。

「下北線路街」は小田急小田原線を地下化することにより生まれた、東北沢駅から世田谷代田駅間の約1.7kmの線路跡地における開発事業です。
2013年に地下化が完了し、2016年に開業したテラスハウス「リージア代田テラス」を皮切りに施設が順次オープンし、2022年に計13施設が全面開業しました。

全体マップ(PARTNER HPより引用)

この開発の特徴は単なるハコ物開発ではなく、下北沢らしさをサポートしていく“支援型開発”を実施した点です。
一般的な開発では収益性の高い高層ビルを建設することが多いですが、線路跡地エリアは地下に線路があることもあり、高層ビルが建てられない制約がありました。

高層ビルを建設できれば事業性の高いチェーン店や大手スーパーを誘致することができますが、今回の場合はそういった需要が見込めません。
そこで小田急電鉄はまちづくり勉強会などで住民との対話を重ねていきました。そこでの対話で得た「個人のチャレンジを応援したい」「チェーン店はいらない」「遊歩道が欲しい」といった声をヒントに、従来のハコ物開発とは異なる“支援型開発”に至ったわけです。
そのため「下北線路街」はほとんどが2階建ての低層建物で、個人のチャレンジショップや旅館・学生寮など一般的な開発にはない”下北らしさ”を取り込んだ開発となっています。

低層型の開発(東京新聞WEBより引用)

ハコ物開発にありがちな完成したら終わりという形ではなく、継続的に地元と協力しながらエリアを魅力的に成長させていく点が”支援型開発”の特徴です。
支援型開発のために開業後も常に連携が取れるよう、小田急の活動拠点を下北沢駅直結の複合施設「NANSEI PLUS」内に設置しています。
また、「下北線路街」が下北沢商店連合会に加わったことにより、より一層の連携が可能となりました。

特徴的なのが長屋型の商業施設「BONUS TRACK」です。ここでは通常のテナント事業とは異なり、個性的な個人事業主をテナントに誘致しています。エリアの相場より低く賃料を設定することにより、個人でも出店しやすい環境にしています。これにより、世界中のユニークなレコードを集めたショップや店内でビールが飲める個人の新刊書店など、個性的なラインナップとなっています。
その他、個性的なイベントが定期的に実施されている「下北線路街 空き地」など各所に下北らしさが散りばめられています。

BONUS TRACK
下北線路街 空き地

小田急電鉄は「下北線路街」に約90億円を投資してきましたが、支援型開発が実を結んだのか、2022年4月の下北沢駅乗降者数は前年比でプラス17%(全線平均プラス11%)と他の駅より抜きん出ています。
こういった結果を見ますと、これまでのハコ物開発とは異なる形で、エリア価値を高めることが可能だとわかりますね。

小田急電鉄の今後の展望としては、他のエリアでも支援型開発のエッセンスを取り組んだまちづくりを進めていくのが狙いのようです。
ワーケーションという切り口で小田原、箱根という観光地を再解釈なんてしても面白そうですよね。

線路跡地のまちづくりはいかがでしたか。
沿線のまちをどのように再開発するかが、各鉄道会社のキーポイントになっていきそうですよね。
皆様も近隣によった際は下北線路街に遊びに行ってみてください!


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