チームラボが表現するもの
ここ10年ほどチームラボがとても人気ですよね。
チームラボはコンピュータやプロジェクターなどのデジタル機器を使って、光や音や動きで彩る空間を表現するアートチームです。
写真映えする上に、インスタ経由で若者を中心に広く拡散しています。
今回はデジタルアート集団チームラボが、何を表現しているのか深掘りしていきます。
まずアート史において、レンズの発明が大きな起点となります。
レンズの発明前には写実的な絵はありませんでしたが、15世紀頃になるとレンズを通して壁に写った景色を紙に写しとる絵が誕生します。つまりルネサンス期で初めて人類は、レンズを通した景色を見れるようになったということです。
レンズの発明により人類は第3者的な視点を持ち始めました。これによりルネサンス期では科学、天文学、地理学など様々な分野で発見や発明がされていきました。
チームラボではアートを通して、レンズであったような人類の認知革命的なものを目指しています。
レンズを通してみた世界というのは、レンズの論理構造で3次元空間を2次元化したものです。要するに、見る側の視点が固定されるため身体を失って、見る側と画面に境界ができてしまいます。
チームラボが目指すものは、身体を失わず、歩きながら見れ、画面が境界面とならず、鑑賞者が世界に触れられ、人々が存在することによって変化し続ける世界です。
では、どのようにそのような世界を表現しているのでしょうか?
1つ目は複数ある焦点です。
これは近代以前の日本で見られた鳥瞰図、屏風絵、ふすま絵にある空間表現です。あらゆる箇所に焦点が合っており、平面的でありながらどこまでも広がりを感じさせる描写スタイルです。
2つ目がボーダーレスというコンセプトです。
複数ある焦点の絵を横につなげて投影します。焦点が1つの絵だと単に絵が2つ並んだようにしか見えませんが、複数焦点のある絵だと、空間的な広がりを持ちます。同じ理由から、作品同士を重ねたり、折り曲げたりすることで空間を境目なく埋め尽くすことができます。
そうすることで空間にいる鑑賞者は、各々が自由な位置で鑑賞可能になります。同時に作品の中に入り込んだような感覚を持ち、そこでは作品と鑑賞者の間の境界がなくなるということです。
チームラボの作品は伝統的な絵画や彫刻とは異なるため、「アートなのか?」という指摘があります。ですがアートにおいて、新しい文脈や流れを作ることやコンセプトを提示することは必要不可欠です。
チームラボの作品はこれらの要素を満たしていると言えないでしょうか?
デジタル機器が発展したことにより、光や音や動きで彩る空間を表現できるようになりました。
チームラボの体験型デジタルアートが、今後どのように発展していくか楽しみですね!
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