SOLA国際ビブリオバトル部門 参加報告
こんにちは委員長です。
一ヶ月ほど前に、SDGsに関して英語でビブリオバトルをするという企画に参加してきました。海外から参加する人もいる中、珍しく私が決勝まで残りました。そこで、どの様なビブリオバトルのをしたか見たいという人のために、上げさせていただきます。まあ、結局決勝で負けたんですが…
本の内容は面白かったので、興味があれば是非読んでみて下さい。
※当日、発表は英語で行われましたが、委員長は英語の発表原稿を作る前に日本語で発表内容をまとめていたそうなので、ここでは日本語の方を掲載しています。(総務部)
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『デンマークのスマートシティ』
皆さん、デンマークのスマートシティを知っていますか?
デンマークは世界の中で有数の先進的なスマートシティを持つ国です。
今日は、このデンマークのスマートシティ:データを活用した人間中心の都市作りという本について紹介していきます。
この本はデンマークのスマートシティのよい点から学び、それを日本やほかの国々でどのように参考にして動くべきかを考えさせてくれるような本で、とても興味深かったです。
本の前半では、デンマークが人間中心のスマートシティを進めてきた歴史的背景、文化、考え方の差を実感させられました。
例えば、デンマークは元々、天然資源が乏しく土壌も痩せて農業には適さない地域でした。さらに、洪水などの自然災害もあるので、公的サービスによる社会保障制度の充実が不可欠でした。そのため、格差の少ない社会システムが作り上げられました。また、格差が無いため能力重視の社会となり、単に勉強をするだけでなく人格形成や課題解決能力を重視するような教育も進められました。
また、デンマークは海抜の低い国でもあるため、環境への問題意識も強く、人間を中心として、平等で環境によいスマートシティを形成する事となりました。
そして、後半ではデンマークにあるスマートシティの取り組みについて詳しく書かれていました。それぞれ、都市デザイン、政府や自治体のオープンガバナンス、デンマークの企業の取り組み、主要3都市がそれぞれしている取り組み、特別な枠組み作りなどが書かれています。
皆さん知っての通り、日本は環境やエネルギー、平等な社会実現、高齢化社会、そして社会の持続性などの問題に瀕しています。私たちは今変わらなければならない分岐点まで来ています。しかし、デンマークのスマートシティはそれらの問題を解決へ導いています。私たちは、これらの取り組みを見習うべきなのです。その、デンマークのしている取り組みや、枠組み作り、アイデアなどが詳しく書かれていて、勉強になりました。
ちょっと具体例が多いのでこれらすべてを説明するのは難しいのですが…、読んでみれば分かりますので是非読んでみてください。一つ試してみましょう。
僕が興味深いと思った例は、コペンハーゲンの中心部近郊にあるスパーキーレンという公園です。これは、デンマークの政策の特徴でもある包括的なアプローチ(holistic approach)や、人間中心の考え方などを表す一例となっています。包括的アプローチとは、目標を達成するために、様々な取り組みで市民の身のまわりのことから多面的に目標を達成する方向へ導くことです。
北欧では、移民を積極的に受け入れてきた経緯があり、コペンハーゲンも多国籍化が進んでいるといわれています。そこで治安の悪化や地域の連帯感などが薄れるという問題が出てきました。そこで、作られたのがこのスパーキーレンという公園です。元々、これが建てられた地域は、安い住宅地があったため多くの外国人が移り住んでいた。その結果、生活様式の違い等から犯罪などが増え、スラム化の可能性を抱えていた。そこで、市は車庫跡を公園に変えることを決めオークションにかけた。その結果、世界的な建築家のビャルケ・インゲルス率いるBIGやアーティスト・ユニットのスーパーフレックス、都市デザインの会社などのデンマーク生まれの会社やグループが選出されました。そして、彼らが取り組んだのは、住民と話し合い公園のアイデアを作り上げることだった。その結果採用されたのは、多様性を尊重しながら、住民同士のコミュニケーション改善し、更に新しい価値を生み出すという手段でした。その方法として、約六十カ国にも及ぶ住民の出身地の遊具、照明、ベンチなどの設備を集めて故郷への記憶をたどるとともに、他国出身の住民の文化に触れて自然と彼らとコミュニケーションがとりやすいようにするというアプローチをとった。すると、この公園は人気のスポットとなり、休日には地元の住民だけでなくほかの自治体からも親子連れが来るようになった。すると、レストランやカフェもできて治安は良くなり、地域再生の成功例としても注目を集めました。このように、スパーキーレンは当初の治安維持という目的に加え、住民のコミュニケーション改善やこの地区の価値創出につながりました。
日本は単一民族意識が強く残る国です。しかし、人手不足ということもあり、多国籍化してきています。私の住んでいる地域では、スーパーマーケットに行くと外国なのではないかというほど客も店員も多国籍化しています。また、悲しいことに入国管理局の中で、不当な扱いを受けて亡くなられた、ということも起こりました。このようなデンマークと真反対の状況では、グローバル化できているとはいえません。格差が浮き彫りになる中、日本もデンマークのようなスマートシティを作らなければならないと思いました。私もスパーキーレンのような公園が近くにあれば行きたくなるし、さまざまな人と話すこともできるのではないかと共感もできました。
そして最後の方では、日本の地方自治体とデンマークとの取り組みについてです。
ここが特に面白く、私がこの本を選んだ理由にもなりました。
皆さんも知っていると思いますが、昨今日本は台風などの自然災害に見舞われていたり、女性や外国人についての格差が問題となっていたり、再生可能エネルギーへの変革、超高齢化社会など、大量の問題を抱え込んでいます。そんな今こそ、成功しているデンマークを真似て環境問題の解決へ向けて私たちが活動をし、平等で持続可能な社会を作り上げることが必然となってきています。
しかし、はじめにも言ったとおり、デンマークと日本やほかの国々は文化や考え方など、様々な差があります。なので、デンマークで成功している良い枠組みをそのまま自国で取り入れてもあまり意味が無いのだと筆者はしています。そこで、日本国内で成功しているいくつかのデンマークとの取り組みをわかりやすく紹介しています。
この本では、特にデンマークの良い点をどのように参考にして働くべきか想像しやすく書いてあり、共感できるところも多くありました。そして、その前例を生かし双方のノウハウをつかい、デンマークの枠組みを地域にあった形で取り入れていくべきだとしています。また、そうすることで、今のデンマークと日本の両方のよい点を取り入れた、新たな社会システムを作ることができるかもしれないとしています。
これからの世代は私たちが有権者となり、日本を含めた世界を作り出さなければなりません。先ほども言ったように、日本は大きな問題を抱えています。本当に重要な問題を抱えているのです。これからは日本が抱えた問題を解決するためにデンマークのようなスマートシティが確実に必要となってきます。そのため、この本でデンマークのスマートシティから学び、新たな挑戦や世界との関係を築き、さらに持続可能な未来型のスマートシティを創るための糸口となります。是非一度読んでみてください。
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読んでみていかがだったでしょうか?
実は、スパーキーレン(superkilen)の具体例が長すぎて発表時間に入りきらず、本番では省略してしまいました。ですが、結局質疑応答の時間で質問されて話す事となったので結果はあまり変わらないと思います。
あ、後それに関して一言、質疑応答も英語でやるのはキツかったです。帰国子女のような人達とビブリオバトルを介して英語で話し合えた事は貴重な経験となりました。
皆さんも、機会があったら英語でビブリオバトルをしてみてはいかがでしょうか?
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【紹介した本】
デンマークのスマートシティ:データを活用した人間中心の都市づくり
著:中島 健祐 学芸出版社
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