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【#4越後姫日記】避けては通れない?〇〇〇〇病の魔の手

12月17日㈮ 天気:雨・暴風 最高気温11度 最低気温1度

順調に実をつける日々の新発田ファームの越後姫。そんな様子にホッと安心していたある日、ハウスを訪ねると不思議な機械を使って何かを苺に向かって散布しているようでした。どうやら、さまざまな病気の対策を行っているよう。
今回は、その中でも特に注意がひつようなある苺の病について書いていきたいと思います。

人間同様、苺も病にかかるのです

トマトなら尻腐れ病、ジャガイモならそうか苗、キャベツなら黒腐苗。
野菜も私たち人間と同じように病気にかかります。
作物によって、かかりやすい病気はさまざま。苺栽培において特に手を焼くのが「うどんこ病」です。

うどん・・・・こ・・・?

うどん・・・・粉・・・!

そうです。うどん粉!!

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農業ど素人の私でも、なんとなくは聞いたことがあるけど、詳しくはさっぱり。一体どんな病気なのでしょうか。

酷い時は、畑が白く見えることも!?
発症したら止まらない感染力

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この写真は、うどんこ病にかかったキュウリの葉っぱです。うどん粉のような白い粉が付着したような斑点が広がっています。これは葉の表よりも裏に出てくることが多いようで、酷いと葉がカールしたように巻いてきます。病名の由来はここにあるんですね。
うどんこ病の白い斑点は、薬で防除しても果面が汚れてしまい見た目がかなり悪くなります。
加えて、付着した菌の胞子が植物の栄養を吸収し、肥大を阻害したり果色が悪くなったり。これは味にももちろん影響が出てきます。葉に発症した場合、株が枯死することはなくても、果実に発症すると出荷不能となり経済的損害が莫大です。そんなうどんこ病の大きなポイントを3つにまとめてみました。

①感染力が超強い
うどんこ病の病原菌はかびの一種で、胞子を飛ばして仲間を増やす空気感染を起こすため感染力は大。
故に換気は行っていてもある程度密閉された状態のハウス内では、1つ発症すると次々広がっていきます。爆発的に感染すると、作物を植えている一帯が遠目から見ても白っぽく見えるほどに。新発田ファームでは育苗ハウスの近くにあった畑のナス(同じくうどんこ病に弱い)から感染した、なんてことが初夏に巻き起こりました。おそろしい・・・(; ・`д・´)

【感染ルート】
胞子を飛散→植物の葉や実に胞子が付着し植物の栄養を吸収→菌叢きんそうへ発展→さらに胞子を形成(これがうどんこのような白い斑点の正体)→胞子を飛散 の∞ループ

②生きた植物の上でのみ生存
土の中に菌は生息していない為、ハウスと比べると土耕栽培は比較的発症率は低め。生きた植物の上でのみ生きられる菌なのです。発症すると、葉だけではなく果実にも発症し、白い斑点が現れます。
勢いあまって、うどんこ病にかかった苺の果実を食べちゃった!なんてことがあっても(あるか?)、人間には感染しないのでご安心を。よかったね('ω')

③発症した後、殺菌しても効果は低い
発症したら取り除いて殺菌!と思うのですが、1度発症した部分に殺菌剤を散布すると菌は殺せても白い斑点はもう消えません。果実に出来てしまった場合は、取り除くことはできないので商品価値はなくなり出荷が出来なくなります。そして、防除薬剤によっては耐性菌が生じやすくなるものもあり、単一銘柄の薬品を使い続けるとかえってリスクを高めてしまうことにも繋がります。

防除作戦どうする?

ということで、新発田ファームで話題のインフルエンサー・うどんこ病。どう防ぎ、どう攻略していこうかというところです。

基本の防止策
①農薬の散布で殺菌(葉の裏にもしっかりかかるように丁寧に!)
②古い葉、脇芽をとる(過密状態で風通しが悪くなり病気にかかりやすくなるため)
③病気に負けない強い株を作る
基本的な発症後の対応
①発症した部分を除去する
②換気する
③殺菌する

以上が基本的な対応。苺も密は避けたいんだね。
なんだか、コロナのニュース記事を読んでいる気分になってきたぞー(笑)

新発田ファームの正解は・・・?

我々が選んだ防除術は③の「病気に負けない強い株を作る」ことに決定。
人間でいうと風邪を早く治す方法より、風邪にかからないための体つくりを重視するイメージですな。
ブログを打ちながら、風邪っぴきの井上。喉痛いよ~(; ・`д・´)
風邪にかからないためにいっぱい食べてるのになぁ。太っただけだなぁ泣

ちっくしょーーーー!

話を戻します。
新発田ファームはこれまで、天然由来の液肥などを用いて強い株作りに取り組んできました。

液肥

ほほう。細かいことはわからないが、栄養が詰まってそうですね!
(外国の洗濯洗剤のようなボトルだと、開口一番の感想を述べたポンコツブログ担当)
そして、晴れ間を狙っておそらく今年最後の液肥の散布を行いました。

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この白い霧状のものが液肥です。
使ったのは、液肥の写真左「グリベテン」。苺の実を太らせる効果があります。そして写真右「64never」は苺の栄養であるぶどう糖の一種を含み、葉を守る効果を持ちます。丁寧に散布することで、植物の表面がコーティングされ、病原菌が付着しそうになってもバリアが張られているため、つるんと滑って病気にかかるのを防いでくれるんだとか。
そして、草勢そうせいを維持することができます。

ほかにも嬉しいこんなことも

元気で強い株を作ることで、食味のいい苺を作れるようになるだけではなく、嬉しいことがもう1つありました。
それは、減農薬農法へと繋がるということ。
農薬は病気や害虫、雑草などから作物を守るために使用する薬剤。
作物自体が病気にかからなければ、使う農薬ももちろん減らすことができます。「農薬=悪」では決してありませんが、使う量を減らすことで安心に繋がる部分って大いにあると思うのです。

私も薬漬けにならないよう、健全に風邪に負けない強い体つくりをしたいと思います(笑)


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