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#148 おとな

『海』 高田敏子

少年が沖にむかって呼んだ
「おーい」
まわりの子どもたちも
つぎつぎに呼んだ
「おーい」「おーい」
そして
おとなも 「おーい」と呼んだ

子どもたちは それだけで
とてもたのしそうだった
けれど おとなは
いつまでもじっと待っていた
海が
何かをこたえてくれるかのように

子どもは呼ぶ行為を楽しんでいる。

おとなは見返りを待っているのか?

そこに何かがあると信じて待っているのか?

答えはわからない。

信じて待つ。
私はそんなおとなでありたい。

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