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#105 ポストよりスキル

PRESIDENT Online
「あなたは高くて不味いレストランと同じ」
50歳の元メガバンク支店長に
職安職員が告げた"残酷な一言"
江上 剛さんの記事を一部紹介します。


50代になると、人間としてのそれまでの蓄積の差が如実に現れるようになってくる。

人格、教養、財産など、何もかも蓄積がものを言う年齢だが、なかなかそうは問屋が卸さない。

私が言うのだから男性に限るのだが、50代になると、ご飯を食べると、歯の間に食べた物の残りカスが溜まるようになる。

それを爪楊枝でほじり、出てきたカスをじっと見つめ、ペロッと口に入れ、飲み込む。

そしておもむろに茶を飲む。グジュグジュとうがいをしてから飲み干す。

昼食を食べ終わった後、以上の動作を若手女子社員の前でやれば一発で終わりだ。誰も可愛いとは言ってくれない。不潔!と悲鳴をあげられるだろう。

平気でおならをするし、くだらないオヤジギャグで笑わそうとする。カラオケに行けば、やたらとデュエット曲を歌いたがる。

孫のいる人は孫自慢を始めると止まらない。そんな人も妻のことは怖い、厳しいと嘆く。いかに妻に虐待されているか、自虐的に話し、ネタにする。

電車の中で何をやっているかと思えばスマホでギャル漫画を夢中で読んでいたり、ゲームに興じたりしている。これで時代についていっていると誤解している。

若い頃は毅然きぜんとしていたのに、どうして年齢を重ねるにつれて外見がだらしなくなっていくのだろうか。本当は、ナイスミドルと言われる男になっていなくてはならないのに、だんだんと崩れていく。

内面も同じだ。どんどん崩れていく。

まず守りに入る。現在の地位、たいした地位じゃなくても、それを守りたいのだ。

守りに入ると人は内面から腐り始める。



私は、ハローワークに相談に行ってみたことがある。すると、相談員に大声で「あなた、甘い!」と叱られた。職業紹介依頼の書類の希望年収欄に、銀行員時代にもらっていた金額での希望収入を書いたからだ。

相談員は「50代になると、この人手不足の中でも、1歳上がるごとに10パーセントの求人が減ります。ですから60歳になると、ゼロになります。ドーン」と、アニメ『笑ゥせぇるすまん』の主人公・喪黒福造のように私に向かって指を突き出した。

「あなたは何ができますか?」

「あなたねぇ、前の会社でどれだけ偉かったか知らないけど、そんなの関係ないから。職務分析して、自分にどんなスキルがあるかが勝負なんだから。若い人なら、会社は安く、長く使うことができるけど、あんた50歳を過ぎてんだよ。高い金で短い期間しか使えないんだ。そんな買い物、あんた、する?」

「……しないです」

「そうでしょう。当然だよね。高くて不味いレストランに誰も行かないのと同じ。今、あなたはそんな状態なの。冷静に自分に何ができるか考え直して、出直しなさい」

喪黒福造は、私に書類を突き返した。
私は、完全に打ちのめされた。

それで「作家しかない」と覚悟を決めた、というのは嘘だけど、本当にショックだった。

私には市場価値がない。これが現実なのだ。

人事部、広報部に在籍したなんて、ポストだけであって、そこで具体的に何をして、どんなスキルを身につけたかが問題なのだ。


守りに入ると人は内面から腐り始める。
本当に重く、恐ろしい言葉だ。
知らず知らずのうちにそうなっていることだけは避けたいものである。

幸いなことに私の周りには凄い50代の方ばかりなので、目標が明確である。

人生100年時代。
さぁ〜次は何をしますか?
そんな時に一番困ることはスキルがないこと。

「あなたは何ができますか?」
この言葉は若い時から意識して頭に入れておきたい。

ポストよりもスキル。
学歴よりも学習歴。

これからの時代を生き抜くヒントになりそうだ。

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