芸歴1年目のフレッシュ日記(1月8日)

男もすなる日記といふものを、男の俺が……。
すなる〜〜〜!!!
まあ、すなるって砂になるの略だけどさ(日記兄弟の青春チャンネル)じゃあ、昔話をしよう。

ファンファン、ファーン(回想)

さっき思ったことなんだけど、
案の定、母親は、いやマザーは偉大であるということで、僕は実家からモコモコのズボンが送られてきた、の、段。
僕が風呂なし四畳半、高円寺2万、水道代月額400円ポッキリに住んで、この寒い独房の長になっているからなのか。ありがたい。
でもね、モコモコが半端ないんすわ。もうね、裏地がモコモコしてると思ったら、表もモコモコ。
裏起毛っていうエスキモーが着てる素材あるじゃない。これは全起毛なんだな。全キモー。

全日本キモオタ選手権大会、全キモー。

だから触ったとき、僕だって24年間生きてるから、その敬虔な経験を活かして、「お、裏表逆になってるな。ラブという得体ないものに侵されてしまいましてソイカラは(全然売れなかった大豆のおやつ、ソイカラ)」
で、裏返すとそっちが裏地。おーい!最初ので合ってたんじゃん!とこうなるわけだ。

しかしまあ役に立つこともあってよお、これを履くだろ。うちには洗濯機がないから、そうだな、1週間は履くな。そしたら段々汚れてきて、もうこれは履けないっ!となったときに、くるりっ、と裏返してもう1週間履く。これで半月はズボンに困らねえという寸法だ。そうだろ?兄弟?

「へえ、そうだね兄貴。」
「おめえも何にも考えずにものを着ると、きっと損するからな。気をつけるんだぞ。」
「ああ、うん、分かったよ、兄貴。」
「……おめえはいつもそうだな。俺がなんか言うってえと『そうだな、分かった、兄貴の言う通りだ』って、右から左になんでもハイハイいいやがる。」
「うーん、確かに、おれはハイハイいうな。兄貴の言う通りだ。」
「それがいけねぇってんだよ!第一俺は話してて手応えがねぇしよ、それにお前は、自分で物事を考えるってことをしなきゃダメだ。」
「そうなのか?」
「そうだよ。俺がなんか言ったら『そんなことない!』ってたまには自分の言葉で言い返さねえとな。でないと、ぼーっと生きてたら、そのうちバカになっちまうぞ。……今でも十分バカだけどな。」
「うーん、あ!えーっと……そんなことない!!」
「おう、良いじゃねぇか。そういうことだよ。」
「あはは、今のは分かりやすかったな。」
「よし、じゃあその調子で、今日一日は俺の言ったことと逆のことをするんだ。」
「……え?逆のこと?」
「そう。俺が『西に行け!』って言やぁ東に行くんだ。『なんか言え!』って言やぁ黙るんだ。『起きろ!』って言やぁ寝ちまえ。」
「あはは、じゃあ『飯をくえ!』って言われたら、厠に行けばいいんだな!」
「くだらねぇ事いいやがって。でもまあそういうことだな。今日一日はそうするんだ。分かったか?」
「へへ、分からねぇ!!」
ってんで、不思議な決め事があったもんで……。

あれ?なんだ?
あー自分から電話か。プルプルプル。
ガチャ。
あしたは、ばにくさんの、らい、ぶがあるから?かみをそめなおしてきあい、をいれろ……?
ああ、明日は馬肉さんのライブがあるから髪を染め直して気合をいれろ、と。なるほど。

確かに、と思った僕は。スマホを手放して「サランラップはどこかな」と、狭い部屋を見渡した。
午後4時という、なんでもない時間の出来事だった。

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