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夏至をすぎた夜の夢

6月22日。
夏至が過ぎた。

「シェクイスピアの『真夏の夜の夢』ってさ、夏至の前夜のお話なんだって!」
以前、友人に聞いて衝撃を受けたことがある。
「それなら全然真夏じゃないやん!」当時はそんな風にツッコミを入れていたが、近頃のうだるような6月の暑さを感じていると、この日本語に違和感がなくなっているように感じずにはいられない。

「真夏の夜の夢」のストーリーに出てくるように、西洋では、夏至の前夜に森の中で妖精たちが集まってお祝いをしたり、人間に近づいて交流をしたりするという言い伝えがあるらしい。
それならば、曲作りの最中の自分のところに、創作の妖精が近づいてきて、名曲を作ってくれないものかと実はひそかに期待していたのだが・・・。
やはり世の中そんなに甘くはなかった。
しかしながら、例えもし自分が妖精であってたとしても、このようなヨコシマな気持ちを抱える自分のような人間には近づかないであろうと、後から納得するのであった。

曲作り。創作。0から1を作る終わりなき旅。
頭が爆発しそうになることもあるが、それでもやめられない。
今なぜかすごく、作りたい気持ちで溢れている。
私は無名のシンガーソングライターだ。
今なぜかすごく、たくさんのミュージシャンに一緒に演奏してもらいたい、たくさんの人たちに自分の曲を歌ってもらいたい、というような気持ちで溢れている。

そんな溢れ出す気持ちをコントロールしながら、今夜もしずかに一人、曲を作る。
「あら、夏至だと勘違いして遊びに来ちゃった!」
うっかり者のチャンスの妖精が、そんな風に笑いながら、ひらひらと舞いこんできてはくれないだろうか。
夏至をすぎた夜に、ダラダラとそんなことを夢見るのであった。

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