ピラミッドと日本教育

雑誌TRANSITの48号は「美しき古代文明への旅」にて、最近ホットなエジプト考古学者 河江肖剰さんが取り上げられていた。

河江さんの経歴はこれまでの学者と一線を画す。高校卒業後単身でエジプトにわたり、観光ガイドとして数年働いたのち、20代半ばでカイロの大学へ入学。高校出たら即大学・留学ではないのだ。

自分も高校の進路選択時に、地学に進み温暖化と向き合うか?世界史に進みエジプト考古学を目指すか?を考えた。後者では時の権威、吉村作治先生のところで学ぶのが一番だと思い、早稲田受験を考えたものだ(結局前者の地学を選んだわけだが)。

30歳を過ぎ、今の年齢になって感じるのは、何も高校卒業したらすぐに大学に行かなくてもいい。18歳で一度社会で働き、必要な学問を見据え大学に進学することは大いに能率的だと思う。

観光ガイドとして働いていた河江さんだからこそ、エジプト考古学におけるピラミッド研究の穴を見つけ(「なんとピラミッドは研究されつくしているわけではなかった!」)、新たな切り口を切り開けたのだと思う。

高校生の時、地学を選んだ理由として「大きな歴史的事件は研究されつくしているから」と狭い視野だったことも要因だった。しかし、今を見ればあの「本能寺の変」でさえ再検討が進められている。当時の自分に伝えてやりたい。なにも考えずに高校を卒業したら大学に行くのはやめよう!そして、やりつくされた学問なんてない。かならず余地はあるはず、それを探すのが「好きなことを研究する、好きなことを仕事にする」ということだろうな。

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