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【邦画】男たちの大和(2005)

監督:佐藤純彌
出演者:反町隆史、中村獅童、松山ケンイチ、鈴木京香、奥田英二、林隆三、渡哲也、仲代達也、蒼井優など
上映時間:2時間30分

数日後に訪れる予定の広島にて大和ミュージアムに行く予定で、その予習として鑑賞。終戦60周年を記念して制作された作品だそうで、キャストが超絶豪華です。上記の出演者には載せきれないほど。

内容はまさにタイトルそのもの。「男たちの大和」に他なりません。
戦艦大和に乗る男たちの物語で、そういう意味では「大和の男たち」という風にも捉えられそうなのですが、あくまで「男たちの大和」なのです。

なぜならこの作品に登場する男たちはみな大和に乗るために集まってきたからです。当時不沈艦と呼ばれていた大和に日本勝利の希望を抱き、大和を心から信じて、そして愛していたからです。たとえ大和が沈む際には自らも一緒に沈む覚悟でした。なので彼らにとっての主役は大和なのです。だからタイトルは「男たちの大和」なのです。

僕はこの作品を見るまで戦艦大和のことは全然知らなかったのですが、まず大和めっちゃデカい!!全長263mもあり、高さは18階建ての高層ビルに相当すると。今見てもかなりの迫力です。当時の人々が大和に大きな期待を寄せていたのも納得です。

前半は大和がいかなるものであったか、そして大和に乗る海兵隊の人々のバックグラウンドや思いを描いています。
大和ではある場所では柔道の稽古をするグループがあり、他の場所では剣道を、また違う場所では別の訓練をと、軍基地並みにデカい。とても戦艦とは思えません。

登場人物はひとりひとりの物語があって興味深かったです。
内田(中村獅童)はもちろん、常田(島本大海)や西(内野謙太)のストーリーからも戦争の悲惨さがよく伝わってきます。

キャストで特筆すべきはやはり仲代達也。演技に圧倒的な重みがあります。彼が目に涙を浮かべるシーンは説得力満点で、涙を誘われることは確実です。

あとは蒼井優!この当時はまだ18歳ぐらいでしょうか。めちゃめちゃ演技が上手いです。広島弁も違和感なく喋り、戦時中の田舎の娘らしい素朴さもありながらも、幼馴染の克己に告白するシーンでは素晴らしい熱量を見せていました。この演技がのちのフラガール出演につながったのではないかと思います。

そしてこの映画が伝えたいことは明白でした。最後のシーンで仲代達也がハッキリと述べておりますし、現代シーンの船長と船員の男の子という人物構図にも表れています。このメッセージはとても重く胸に響きました。

僕たち俳優も、観客に物語を「伝える」仕事です。自分は戦争は経験しておりませんが、こういう映画を見たり本を読んだり、実際に戦争があった場所に赴いて戦争について学び、それを伝えていかなければなりません。

僕もインド在住の日本人俳優として、森脇や唐木の願い、神尾や西たちの純粋な思いをインド人たちに伝えていかなければならないと決心した次第です(内田の台詞より引用)。

この映画は日本人が戦艦大和にかけた希望、大和と共に死んでいった人たちの思いを知ることができる素晴らしい作品です。日本人ならぜひとも一度は見ておきたい作品。そして最後のメッセージは必見です。
大和ミュージアムへの士気が高まりました。

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