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でっかいダツを食べる試み

どうも皆さまこんにちは、野食材を色々食べる試みの藤助です。

突然ですが、釣りは好きですか?


今回は素晴らしい秋晴れに恵まれた日、これはチャンスと釣り道具をトランクに詰め込み、柏崎まで車を走らせた時のお話しです


新潟県で一生雨や雪に縁のなさそうな青空が広がっていも、多くの場合これが明日には蜃気楼のように儚く消え去ってしまう事は、我々県民にはもはや常識。

しってるぜ、おれは新潟の天候には詳しいんだ

貴重な晴れ間をフル活用すべく、法定速度内で許される限りのハイスピードで釣り場に華麗に参上し、ぺぺぺっと竿を伸ばし、仕掛けを付けていく。

5年以上雑に扱っている安物で、所々錆びて滑りも悪いが素人が適当に振り回す分には充分である


不穏な糸の巻かれ方


海水を汲んでいる間、とりあえず海に糸を垂らしておこう。

私みたいに不注意が服を着て歩いてるような人間は、絶対に針を自分に引っ掛けて魚を釣る前から糸を引き千切って台無しにしかねないので、なるべく遠ざけておくのが大切。

釣り針は海で、私はタタラ場で暮らそう。


しかし、今日は本当に気持ちが良い。

海より青い空に飛行機雲がたなびき、波間に太陽の光と水中の魚の鱗がキラキラと乱反射している

平日だというのに、親子連れや近所に住んでいると思われるおじいちゃん達、私のように一人で来ている人、仲睦まじくエサを付けているカップル等、沢山の人が高い高い秋の空の下、港に集まっていた

たっぷりとなったバケツをよいせと引き上げていると、錆ではまらなくなったガイドをガタガタと鳴らしながら竿が海にダイブしようとしているではないか!

待って!会いに行くから!
四つ足の獣に乗って会いに行くから!
勝手に海に帰らないで!


すんでの所で引き上げると、シビビビビ!という振動と共に鈴なりの魚が連なって来た!



開始早々、これは幸先が良い。
しかもまだエサも付けていないのに、どうした事か


コハダがいっぱい釣れた!と小躍りしていたら、
同じニシン科のサッパだった


その後も垂らしては釣れ垂らしては釣れ、だいぶ調子よくバケツの中を賑やかしていったが、昼も過ぎ50匹も釣れた頃、ぱったりと釣れなくなってしまった。

しかたない、もう一つの竿でルアーを投げて遊んでいようか

当然こちらもガタガタなので、ラインが捻れたり絡まったりしつつ騙し騙しの釣行である

延々とほん投げ続ける事小一時間、何回目かもわからない巻き上げをしていると、ググッと急に動かなくなってしまった。

しまった、根掛かりしてしまったか。

自然の場を借りて遊んでいる以上、ルアーや釣り糸等を置き去りにして環境を汚すのは極力避けたい。

まずは左右に振って、それから上下に振ってどうにか外れれば…と格闘を始めたが、何かがおかしい。

腕に力を込めてググッ…と引っ張ると、ぐにゃり、というかぬったり、何か蠢く者がアプローチをかけてきている様な不気味な手応えがある。

これは、何かが掛かっている!
しかも大物だ!!

一気にテンションが上り、ガッ!と顔が熱くなる。
ヂリヂリと軋みながら、リールが糸を巻き取って行き、せいぜい中型のアジまでしか経験の無い竿がこれでもかという位にしなる。

グリ…グリ…と少しずつ手繰り寄せると、水面のすぐ下にのた打ち回る何かの鱗が刃物のようにギラリと光っている。

やはり大きい!

ここで逃す物かと気合を入れ直し、暴れるそれを力を込めて一気にズルリと海から引きずり出す

周囲のどよめきに威嚇するように身体をくねらせ上がって来たのは、1メートルもありそうな、それは大きく太いダツであった


画像では伝わりにくいけど、本当に大きかった


のた打ち回りながら牙を剥く巨大な相手に、ほんの軽い気持ちで釣り上げてしまった私は半ばパニックになってしまった。

適当に投げていただけなのに、まさか本当に釣れる奴があるか!

ワタワタと車を開け、役に立ちそうなものを探す。

整頓はされていないが、何かしらに使えそうな物は一通り揃っているはずだ

道具箱から見繕い、厚めのゴム手袋、金槌、ペンチを抱えてダツのもとへ走る。

どうしよう、噛まれたら人の皮膚なんてティッシュみたいに裂けてしまうだろうし、一思いに頭を潰すか?

地面に落ちてもなお鞭のように尻尾を振り回すダツ。


すると、口から伸びるルアーの針に長い身体が引っかかって首枷が足に繋がれたようになり、上手いこと身動きが取れなくなった!



こうなればこっちの物だ!



討ち取ったり


ガチガチ鋭い歯を鳴らす嘴に金槌をねじ込んで開かせ針を外し、無理矢理クーラーボックスに押し込み、長い戦いに何とか決着が着いた。

信じられない程の高揚、心臓が躍動し手が震え、原始からの狩猟本能が雄叫びと勝鬨をあげている。

背中の毛が逆立つのを感じながら、さて、どう調理しようかと思索する。

ここからは、野生よりも人類の技能の出番だ

死闘の末勝ち取った生命、しっかりといただこうではないか


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