見出し画像

グリム童話ATM

 むかしあるところにおばあさんがおりました。おばあさんは孫のために年金をためていました。ある日赤い頭巾をかぶった鉄の箱が話しかけてきました。
「もしもしおねえさん、お金を増やしてみませんか」
怪しいと思いましたがおねえさんと呼ばれて立ち止まってしまいました。
「孫におこづかいをあげたって何にもなりませんよ、それよりわれわれが専門知識を生かしてあなたのお金を増やしてみせます」
「どうしてあなたにはお口が二つもあるの?」すると葉書手紙と書かれた口から手が出て
「あなたのお金をもらうため」
「ダメですよおばあちゃん!そこに現金を入れないで、こっちです!」
優しそうな郵便局員が宛先の書かれた封筒の口を広げ封をしてさっきの口に投げ込みました。
「やめろ詐欺師」
すぐに別の局員がポストの背中を開いてお金すでに口を開けていたATMに飲み込ませます。
「お前たちずいぶんなマネしてくれるじゃないか」
「す、すみません姐さん」
(本当は怖いATMより)

410文字

「あたしをおばあちゃんとはいったい何様だい!」

たらはかに様のお題に参加しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?