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伝書鳩パーティ 旧約編

 オリーブをくわえ飛んでいたらパーティに誘われた。どうやら同族のようだ。
「主人の命令で洪水を偵察している。報告が済んだら寄らせて」
すると相手は豆鉄砲くらった顔で
「洪水? だいぶ前の話だよね。そこの水は全部海だぜ?」
と笑うではないか。ではご主人様はずっとあの四角い船の中にいるのか?
「で、キミらは何者なの?」
問い返すと
「オレたちは平和の使者さ」(そうは見えなかったが)
「で、パーティはどこでやるの? まさか空中で?」
相手は無言で空を翼指した。
「沈まない航空母艦だよ」
クルクル回転する円形の物体が見えた。なるほど空飛ぶ円盤マジックで時空を超えていたとは。
「まさか不沈空母の風見鶏のロ、」
言いかけたがやめた。それこそだいぶ前の話かもしれない。相手はなおも話しかけてくる。
「なぜ九に鳥で鳩なのか知ってる?」
「さあ? でもそのネタ、キミら以外にも通用するんヤス」
言いかけてやめた。

ノアの方舟を飛び立った鳩は遂に戻らなかったという。

410文字

たらはかに様のお題に参加しています。

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