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金持ち教習所 金持ち病院編

「あ!」
何が起きたのか把握するのに数秒かかった。仮免中のドライビングスクールの車は急停車した。
「大丈夫ですか」
どう見てもピンピンしている相手に声をかける。
「…」
どうしよう。免許はどうなる? いや、過失運転致死傷は7年以下の懲役だったか? 目の前が真っ暗になる。
「あ、足が」
待て。コイツは世に言う当たり屋なのかも知れないぞ。様々な思いが駆け巡る。
「わかりました。ここは穏便に済ませましょう。この車は勿論保険に加入しています。そちら様も今は何ともなくても後遺症が出ることがあります。すぐそこの病院にお送りしましょう」
キッパリと教官がとりなす。
「オレは病院が大嫌いなんだ」
「そうおっしゃらずに」
運転を交代してその大病院の緊急入口をくぐる。特別室に通されると相手は大人しくなった。
「助かりました!」
おかげで私は無事に免許が取れた。

 その後患者に予想外の病が見つかり彼の家族が遺産を手にすることになろうとはまだ知るよしもなかった。

410文字

たらはかに様のお題に参加しています。

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