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文芸部③ 最後のマスカラ編

 文芸部に原稿が集まった。表紙を飾るのは部長のイラスト。描いたのはAIだがアイデアとプロンプトを出したのは自分だという自負があった。問題はどちらの作品を巻頭にするかだ。
「まず期待の新人の作品ですが、ギリシア神話を下敷きにした人間と鶏の恋物語『エロスとプシ毛』ですね。まさかそんなオチではあるまいな? と出オチのお手本感を裏切らない結末です。これだと読者はそこで雑誌を投げてしまうのではありませんか?」
「ではアルフォンス・ドーデ『最後の授業』を下敷きにした『最後の数学マスから』はどうでしょうか。これは、敵国の陰謀で国語の筈が数学になってしまうというオチでした」
「悲しいですね。やはり文芸部員は文系でしたか」
 結局鶏唐の模擬店と撮るだけで目元バッチリのプリクラハウスというチキンぶりに落ち着いた文芸部最後の文化祭だった。

400字

※サイコ(心)は元々がプシケから来ています。

たらはかに様のお題裏お題に参加しています。

小牧幸助様の企画に参加しています。

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