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氾盥の鬱期夏異夢

 話題も気候も沸騰している昼日なか、玄関先の溝の上を水が流れてきた。蜃気楼だろうか。豪雨に見舞われると溢れるおそれがあるから泥をためないようにしていたけど雑草はみるみる生えて街路樹となりあっという間に枯れた。

 この水はどこから来たのだろうか。答えは明らかだった。周囲の家が一斉に洗車を始めたのだ。迂闊に他人に任せると碌なことないものね? 車置き場から漏れてくるのは水ばかりでなく子どもたちのウッキーウッキーとはしゃぐ声。ホースを手にしたお父さんは半タライならぬ半裸、応戦する子どもたちの水鉄砲。あれれ車はどこ? まさか修理に? 空いたスペースに散らばるプールや浮き輪。やだ、私としたことがウッカリしっかりのぞいてしまってる? 班たらいん板ですよと汗ふきふき。

 ご近所はどこも車で帰省していたと後でわかった。あの人たちは何だったんだろう、帰ってきていたのかしら一昨年流された先から。タライにいたるまで半分透けていたもの。

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たらはかに様の裏お題に参加しています。

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