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ヒマワリへ 告白水平線編

 ヒマワリへと書かれた封筒を受け取った私は欣喜雀躍した。今度こそ私だ。

ママにはいつも相手にされない。
「ヒマ、」
えっ?
「ないんだよねゴメン」(何だ彼氏と話してるのか。誘いを断っているのね)
「ヒマ、」
ハイハイ呼んだ?
「ン防止のため禁酒してるんだ」
飲みもパス?だったら最初から付き合わなきゃいいじゃん。かえって彼が気の毒だよ。

こんなことまで。
「サンフラ、」
(英語かよ)
「ンシスコ行ってくるわ」

ついに私の番?
小さいときからずっと放ったらかしにされてきた。書き置きには紛れもなく「私」に宛てた言葉が。

『旅に出ます。あの人とふたりで幸せになりなさい。あなた達のことは彼と見たイタリア映画でわかってしまいました。地平線の彼方まで埋め尽くす黄色い花と始めの女の敗北が私を打ちのめしたのです。水平線の彼方から告白とエールを送ります。ヒマワリへ』(メッセージを開くとソフィア・ローレンの顔のポップとあのメロディーが流れる仕組みになっていた)

410文字

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