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「神様時計」番外編

 神様が下を見ると小さな女の子がもがいています。熊手でひっぱりあげて二人で世間話をしました。おもに家族の話でした。ずいぶんと昔の話でした。語り終え一息ついた彼女は、相手の手首を見て、
「ところでおじいさん、時計はなくしたんですか」とききました。
「壊れてしまったんじゃ。いっときわしの熊手をお前に任せよう。あの時計は知らないうちに他のやつに使われていた。そいつは何食わぬ顔でまた返した。壊れたあとでそいつと友だちになって飲みに行った。まあ、つまらないやつじゃった。さて二種類の酒飲みがいる。時間を得るために飲む。時間をつぶすために飲む。もっともこれは酒だけじゃないがの」
「それはそうとおじいさん、オーディオブックの物語のハンバーガーチェーン、どう思いますか」「うむ、そもそもわしの話は意味ありげに色々ちりばめるからの。あの国の住民も依存性かも知れんの。おっとあまりおかしなこと言ったらR12じゃ」

「時計を持たない神々」より

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