「二重人格ごっこ」ホラー編

「おはようジキルだよ」
「こんにちはハイドです」わたしたちはいつもとても仲良しなんです。たまにケンカをしますけどね。
『何よこの二重人格！』
『よくも言ったな、文学少女もどきが！』
そんなとき彼はちょっぴり嬉しそうな顔をします。わたしだってまんざら悪い気はしません。なぜなら二重はともかく人格と呼ばれるとまるで人間みたいじゃありませんか。怒ったふりをしても内心はご満悦なのです。わたしだって文学もどきはともかく少女と呼ばれているのですから。普段のジキルはCMやドラマでアイドル犬を演じています。わたしはシリーズものミス・ハイドの事件簿で原作を書き主演を務めています。悩みは税金が二重にかけられてしまうことでしょうか。ええっホラ話じゃ駄目なんですか#ホラーって？　

「その音声はいったい何ですか？」
「ようやく録音できたよ。以前からこの廃墟にチワワみたいな顔の老婆が写り込むという噂が絶えなかったんだよ」

400文字

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