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「プロのバナナ」②

 今年担任になったクラスの保護者は口うるさい人が多い気がする。奈々先生は顔をしかめる。昨日も変な電話がかかってきた。
「先生、給食の件なんですけど。時おりバナナが出ますよね。一人に一本とか。でも厳密にいってバナナの身の部分って同じ重量ではないでしょ? 不公平ですよね。ある子どものバナナはやたらと皮がぶ厚かったり熟していなかったり。結局のところ誰かが美味しい思いをする一方でハズレや傷んだバナナに当たる子もいるのです。対処してください」
やれやれ。
そのとき新聞の折込みチラシに気づいた。
『プロが選んだプロトバナナを正確に再現して寸分違わないバナナを量産します』興味をひかれた奈々先生は校長先生に相談してその生産者の話をきくことにした。
 要するに工場でバナナの実を捏ねてあの形に成形して人工皮で包んだ代物であることが発覚したのだが、そこを訪問した際に外国人技術者のプロノーヴァさんと知り合ってご縁があった話はまた次回。

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