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宝くじ魔法学校 過去編

「もし、王様の交差点とやらはこちらでござるか」
古風な若者だ。サムライみたいな衣装と髪型。
「そうだけど。まさか例の魔法学校行くつもり?」
「違うでござる。拙者は妖術寺子屋で学んでのち富くじを当てるなどとまわりくどいやり方は好まぬ。いや、とにかく未来行きの発車ホームはここでござるか」
未来か。あたしと一緒じゃん。発車まで時間があったので座っておしゃべりすることにした。「未来に何しに行くの?」
「それは富くじの当選番号の記録を手に入れる為でござる」
あきれた。あたしは思わず愚痴モードになり説教スイッチが入ってしまう。
「楽することばかり考えないで。あたしなんか必死で勉強したのに畑違いの職場に入ってしまって鬼上司にコキつかわれてんのよ。今だって自分のためじゃなくて他所の子どもが読みたがるベストセラー小説の未刊行巻を買いに行くとこなんだから。大変だけどそれなり充実してるもんね」
隣のテーブルの人も書きまくっている。
コーヒー一杯で。

410文字

たらはかに様のお題に参加しています。

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