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「タイムスリップコップ」

「馴れ初めですか? 一言で言えば、あたしが働いている職場にカレがお客様としてやって来たのです」招待客はほほーっと耳を傾ける。オバサマ方は眉を吊り上げる。カレもオイやめろよと言いたげ。あたしはやめない。
「その日あたしはあるテーブルにお冷やを置きました。お客様は雑誌TIMEのUS版をお読みでした。見ると上下が逆さまです。しかも書店のスリップが挟まったままです。何この人? つい興味を引かれていると。
『おい君、このコップは何だ? シールがついたままじゃないか』とクレームをおっしゃったのです。お詫びしてコップを交換しようとすると、『ちょっと待って、『タイムスリップコップ』?』彼がシールを読み上げました。その時、あたしの手と彼の手が同時にそのコップに触れたのです。どういう流れでそうなったのかはわかりませんが、あたしたちタイムスリップしてこの式場に飛んで来たのです」
そのときボーイが乾杯グラスを配り始めた。見るとシールが。

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