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風見鶏ローディ ②

 あるところにローディという街があった。その地名が脚光を浴びたのは彼が13歳ころの出来事のせいだ。祖国は絶対的な王政に支配されていたのだが、暴動が起きて王は処刑された。そして王妃の実家の軍隊と戦争になった。ローディで勝利をおさめた男は小柄で頭髪に不自由していた。彼はその第二次遠征に参加したのだ。
「好きな色は?」
「赤」
「好きなタイプは?」
「人妻」
ラストは黒が好きでタイプはツンデレお嬢様というところに落ち着いた。激動の時代だから風向きを読まねば生きていけなかったのかもしれない。
 旅先で目にした教会の絵画のあまりの素晴らしさに眩暈が起きたと語ったため彼の名が病名につけられた。首を長時間曲げたせいた。風には逆らうべきでなかった。現代でも美容室のシャンプー台で首をそらし続けて眩暈をうったえる例は報告されているという。
 彼の墓誌には
『ミラノの人。書いた愛した生きた』
と彫られた。そのミラノの南東にあるのがローディという街だ。

410文字

一部実在の固有名詞を使ったフィクションです。


たらはかに様の裏お題に参加しています。

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