秘密警察を宣伝してみる ①

　面接試験会場はアイドルのコンサートステージとアニメ映画初日を合流させた様を呈していた。これが全部秘密警察採用試験の受験者だとは。
　秘密と聞いて顔を曇らせる者もいれば目を輝かせる者もいる。警察と聞いて不快になる者がいる一方で安堵する者もいる。組み合わせると世の中には四種類の人間がいる。ここにいるのは、秘密警察に夢と希望を持つ若者たちなのだろうか。だが実際は少し違う。イケメン人気俳優を起用した秘密警察を舞台にした恋愛ドラマ、そして巨乳ロリキャラ秘密警察官を主役にしたオタク向けアニメが流行るなり、志願者は鰻登りとなった。結集した若者たちのなかには握手会やグッズ販売目当ての者もいるという。

「久しぶりね、タナカくん」
「やっぱりキミか、サイトウさん」

「先生、タナカくんは今日三回も秘密という言葉を使いました。良くない事だと思います」

　元クラス委員は広告代理店秘密警察プロモーション室長になっていた。やり方が強引なようだね。

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たらはかに様のお題に参加しています。