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半分ろうそく 全部盛り編

「さんけんぶんりつ、略して『三分』とは、」塾長はそこで言葉を切る。
「誰かわかる者はいるかね?」
仕込みの手下が仕方なく手を挙げる。
「三つのケン、すなわち健康・賢明・謙虚。さらには文理のツウの意味であります!」
塾長は満足げにうなずく。
「当塾に通わせておいでの保護者の方々はよくご存知ですが、素行不良で停学をくらったお子さんもここに来れば心を入れ替えメキメキと成長するのであります」
そのとき聴衆の一角から罵声が飛んだ。
「デタラメだ! この教育施設の実態はこれだ!」
声の主の掲げたプラカードには『豚箱不足』と書かれていたが、前に立ちはだかるガードマンの頭で箱と不の字は隠れてしまっていた。

「以上がかの「三分豚足事件」のあらましです」
モニターの動画が停止してまん中に▶️マークが現れる。
「うーむ。当時の関係者はすでに誰も残っていないからな」

だが実はこの動画には続きがあったのだ。
「よくも!」
と叫んだ半分正気の人物が火のついた蠟燭を、

410文字


振りかざすと残り半分のフィルムはメラメラと溶けていった。

「さあ、きょうの授業おはなしはここまで。よいこのみんな、またね」
ろうそくが消えて教師が教科書えほんをとじると半ばロウのような顔色の生徒らはのろのろと立ち去った。

たらはかに様のお題裏お題に参加しています。
(字数オーバー誤魔化し)😅

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