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響く礼節をペンペンしてみる ①

 名門嶺雪学園の不文律には先生方へのご挨拶を欠いてはならないというものがある。通常の挨拶は言うに及ばす「謝礼の季節」であろうとなかろうと、先生方のご自宅周辺は常に黒い猫や飛脚のバンでごった返している。怠ると成績や調査書に響くのだろか? 
 老舗デパートに奇妙な老人が現れた。高額品を包装させた挙句「ペンペン頼むわ」とお尻を突き出したのだ。ある女性が顔色一つ変えずに「お客様申し訳ありません。残念ながら当店はまだペンペンのお取り扱いがございません」と丁寧にお辞儀をした。老人は大人しく懐からカードを取り出した。
「あんた嶺雪学園の卒業生?」
「はい」
「今後盆暮に必ずこの店を使うよう校則にしたためる」
「ありがとうございます」
出向研修中の取引先業者は恭しく名刺を差し出す。片山辺子(愛称・ペンペン)校舎の建て替えご相談受付中とある。
背後で百貨店従業員ら、
「本部からの曲者アラート響いてたよ」
嶺雪学園のOBOGには商機の鐘であった。

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