「君に贈るランキング」④

　裏返した骨牌（カルタ）を注意深くかき混ぜて、わが君一枚お選び下さいと促す。いつもの儀式だ。
「これは剣の意匠です。一つだけ記されています。すなわち第一位」
続けて別の束から選ばれた札にある記号は赤い縦長の菱形だった。金剛石の意匠で物質的豊かさを示していた。
　するといつになくわが君は投げやりな口調で語り始めた。
「さて。次にまた別の束から私が一枚引くと、そこに心臓の意匠が一つだけ出るのであろう。民の幸福度だ。葉っぱの意匠は同様に農産物だな。お前はいつも同じカードばかりの束を渡してくる。そしてわたしに告げる。わが国は、軍事力第一位、経済力第一位、国民幸福度第一位、食物生産高第一位の理想的な国家で、私はそこの君主だと。だが、もうお前には騙されな、」
　言い終わらないうちにその場でがくりと倒れた。骨牌に仕込んでおいた毒がまわったようだ。そろそろ潮時だった。新しい骨牌とともに別の君を呼ぶとしよう。「卑弥に贈るランキング」だ。

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