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#毎週ショートショートnote

 肩の凝らない雑談としてお聞きください。宝石をはじめとする貴金属類は親先祖にもらうのがいいそうです。(恋人のは破局したあとも残ってしまいますし自分で買うのはもったいないですし)言い方によっては身も蓋もないですね。確か須賀敦子さんの「ミラノ霧の風景」にそんな話がありました。あちらの元貴族のためのジュエリーリフォームのお店は、表通りのブランドショップに群がる観光客をよそに裏通りでひっそり続いているのだとか。
 どのみち石を首にかけるなんて。そう思っていたものです、ある日友人真里亞が趣味でアクセサリー作りをしていて実は彼女昔はいいお家の姫君で、採算度外視で天然石原石を仕入れては人件費も大幅におまけした手作りのペンダントやネックレスを出展しているのだけれど、そこまで繁盛しているわけでもないと知るまでは。もうおわかりでしょうか、真里亞が度外視していたのが採算だけでないことに。本当は肩の凝らない話をしたかったのですけれど。

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「友情の総重量」

たらはかに様のお題に参加しています。

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