「ふりかえるとよみがえる」教職編

「テーマは『菱川師宣の見返り美人』です」
黒板から振り返ると、居眠り内職早弁スマホに勤しんでいた生徒たちは一気によみがえり態勢をノートをとるフリにかえる。
「先生、これ美人ですか？　背中が少し傾いていて首は真後ろでヒップの位置が低いし左の袖もヘンです」私はうなずき、
「ところで君たちは『シンウルトラマン』のポスターを見ましたか」と話を逸らす。死んでいた生徒らの目つきがよみがえる。
「劇場バナービジュアルですね。身体は135度、顔は45度です」
「これが見返り美人のオマージュだと？」
「うちのママ、『誰も知らない』の柳楽優弥みたいだって」
「あれはカラータイマーを見せないためだよ」
教室は騒然となる。

「報告書」
流れは少数浮世絵派を不利に変えり。
特撮派は歓喜して首を縦横に振れり。
ミーハーはフリーに還れり。
よく言えば全員参加悪く言えば崩壊の一歩手前。

「現代に蘇る見返り美人？　実習としてはヒネってるな」
指導教師の言葉がよみがえる。


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