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着の身着のままゲーム機 ①

 街は飽食暖衣の徒で溢れている。売れ残り品を抱え街角に立った。
「お一ついかがですか」
「それ何?」
「心まで暖まりますよ」
「代替品がいくらでもあるだろう?」
「レトロ感がいいのです。確かに電池がなければ使えないモノもあります。家中の電池を使い果たしてしまいイザというとき困る可能性もあります。災害時の懐中電灯とかラジオとか。来るか来ないかわからない事態に備えるよりも刹那の楽しみを優先しませんか花火を楽しむように」
もう一人がわりこむ。
「箱入りじゃないんだ。惜しいな。未開封なら買うんだが」
コイツは脈アリか? 
品を引っ込める。
彼らが立ち去りそっと自分でスイッチを入れる。音が響く。小さな画面でキャラクタが動いている。
あれ、ゲームオーバー? 
もう一度。
着の身着のままゲーム機で遊んでいると声をかけられた。
「ここ、あたしのナワバリなんだが」
うわ、伝説のマッチ婆さんだよ。

「ママ、こもりきりのおじいちゃんの部屋から煙が出てるんだけど」

410文字

「炎の中できのう見たゲーム機を売る兄さんじゃないか」
運悪く彼女に見出されてしまった。

(補足しました)


たらはかに様のお題に参加しています。

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