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金持ち教習所 一部壁持ち編

 金持ち教習所への入所が決まったと知られると周囲から激励と冷やかしの言葉が寄せられた。非常な狭き門でありしかも大勢のライバルがひしめいていてそこから浮上するのは至難の業なのだ。金持ちになるにはスキルや技も要求されたが見た目の良さも大事だ。倍率の低さで言えば「美しい国」に移住してそこから金持ちを目指すのもアリだが非難の的になりそうだ。そんなことに躊躇する者もいない。他国は金持ちになりたいあまり怪しげな薬物に手を出し参加資格を失ったという噂も流れた。
「1、2、3、4」と指折り数える。4の倍数の年だ。
「1、2、3、4、この中で意味があるのは1だけです。4なんて無意味ですよ」
ストレスでついに幻覚が見えた。ここは矯収所なのか?
「1234年、女真族の帝国金はモンゴルにより滅亡した。その領土は『壁』の内側で現在のロシア北朝鮮の一部も含まれていたという」
突然閃いたフレーズを口にすると周囲はポカンとしている。メダってしまった。

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たらはかに様のお題に参加しています。

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