「フシギドライバー」美魔女編
母は父の海外赴任先について行くことになったが、私は学業の関係で国内の祖母宅に身を寄せることにした。祖母に会うのはこれが初めてだ。私は物怖じしない性格なのでその豪邸でも堂々としていたのだが。通された部屋で巨大なブーケが目につく。
「よく来たわね」
祖母はびっくりするほど若かった。度肝を抜かれ私は
「綺麗なお花!」
と口走っていた。祖母は微笑む。
「あなたの両親の披露宴で贈呈されたものよ」カサカサだが華やかに彩色されている。メイドがお茶受けの皿を置く。砂糖をまぶしたゼリーのようだ。
「あなたのお母さんのお里からいただいた果物で作ったの」
母の実家の大玉の桃やりんごは乾いて一口大に凝縮されていた。
私は理解してしまった。花や実の水分とエキスを抜き取り、そのエネルギーを吸収して祖母は若返っているのだ。
「あの、まさかとは思いますけど。私を?」
「大丈夫よ。もう試してあるから」
祖母の視線の先には三棹の衣装ケースが。うち一つは空だった。
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