映画『キャッツ』を観たら、猫に洗脳された話。
映画『キャッツ』がアメリカで公開され、その散々なレビューがSNSで話題になりました。
私は劇団四季のキャッツは履修済みです。その世界観に魅了されました。
ちなみに私の推し猫はラム・タム・タガー。
何も知らない初キャッツで、私の座った席の隣が空席だったから「こんな良い席なのになぁ」と思ったら、劇中でラム・タム・タガーが私の隣に座ったんですよ。恋に落ちた雌猫になるしかありませんでしたね。
それはいいとして、このレビューを読んで私が思ったのは、「このレビュアーはミュージカルのキャッツを見たことあるのかな?」でした。
だったらミュージカル履修済みの私が見て、確かめなくてはならないと思って、公開初日に観に行きました。
まず酷評となってしまった原因を考察してみます。
猫の擬人化というよりは……
まず、ミュージカル『キャッツ』に馴染みのない人にとって「ドン引き要素」となるのはその造形でしょう。
四季のキャラクター紹介ページがこちら
映画のキャラクター紹介ページがこちら
四季版はまだ「猫の擬人化感」はあると思います。服着てるし。人間ぽさも残っています。
映画は、毛皮の質感がリアルだし、なんというか「クリーチャー感」が増している気がします。猫の擬人化というより、実写版現場猫とか、実写版八頭身モナーっぽい。
映画の予告編や、CMでドン引きしてしまったら、多分その印象は映画本編を見ても覆ることはないと思います。現場猫が圧倒的な歌唱力で歌い、八頭身モナーが美しく舞う映像を見せられている、という感覚になってしまうでしょう。
逆に、この造形に美しさを感じていたり、あの酷評レビューを見て「絶対観に行こw」と思った人にとっては期待以上の極上体験が待っています。
『映画』が『舞台』と比べて圧倒的不利な点
四季のミュージカルに限らず「演劇」を観に行った事がある人はわかるでしょうが、舞台ってホールに入ってから「世界観」が作られているんですよ。
BGMが鳴り、舞台美術が目に入る。猫に扮した役者がにゃーにゃ―しているのが目に入って、上演開始までにその世界観に慣れることができます。
だけど映画の場合、それができません。ストップ映画泥棒が終わったら、いきなりあの実写版現場猫と実写版八頭身モナーが襲い掛かって来ます。
この奇妙な世界観に慣れるまでのタイムラグが短いか長いかによって、極上体験か恐怖体験か分かれるのではないでしょうか。
ジェリクルって何よ?
世界観にイマイチ入り込めない要素に、「ジェリクル」があるのだと思います。
この言葉、どういう意味なのか説明もなく序盤にイキナリ出て来て、最後までどういう意味なのか説明はありません。
ニュアンス的に察することはできても、明確な答え合わせがないので、気にする人はずっとモヤモヤするでしょう。
「ジェリクル」とはなんなのか、そして選ばれた猫はなぜ天上界へ行くのか、選ばれる基準はなんなのか、なぜ猫たちは天上界に憧れるのか、そもそも天上界とはなんなのか。一切説明はありません。
これはミュージカル版も同じなのだけど。
映画『キャッツ』は何だかよくわからないモノを、何だかよくわからないまま楽しめるタイプの人向けの映画でしょう。
日本人オタク受けは良いと思う
もうちょっと公開が早ければ……FGOアンケートの「コラボして欲しい作品」に「キャッツ」と書く人続出したでしょう。
日米同時公開だったら絶対コミケでキャッツコスする人いたでしょう。現場猫とキャッツ合わせとかあった。
とりあえず、ミュージカルキャッツファンと、あのアメリカの酷評レビュー読んで「絶対観よw」と思った人は見に行くべきですね。
でも注意すべき点が少々……
これはちょっとミュージカルファンも……?
猫だけじゃなかった……猫だけじゃなかったのよ。
ネズミがいたのよ……ネズミとね……う……うげ……。
ちょっとあのシーンは書いたり思い出したりするのも無理……。
て……らふぉ……。
そしてラストで洗脳される
さて、あの猫の造形を受け入れ、すんなり世界観に入り、思い出したくないシーンはあるものの、よくわからないまま最後まで楽しめた人にラスト5分で襲い掛かる極上の謎体験!
猫にね……洗脳されるんですよ。
猫たちのラストソングを聞くと……「あ、高級猫缶買って、ネコチャンにあげなきゃ」って。
私、猫を一度も飼ったことないし、そもそも犬派なんですよ。
そんな私ですら「ネコチャンに高級猫缶……食べさせよ……猫を敬え……猫と和解せよ……」となったので、飼ってる人はまんまと高級猫缶買って帰ると思いますよ! こうご期待!
以下ネタバレあります。極上体験したいひとは映画を見てから読んでね!
たぶんキャッツってこんな話
ストーリーはあってないようなもので、それはミュージカルも同じなんですけどね。
ミュージカル初めて見た時に、あまりよく解ってなかったんですよ。
でも今回映画を見て「ああ、こういう話だったのか」と思ったんです。
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