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もう一度、学校に通いたくなる『暗殺教室』

「学校」を卒業して何年経ったでしょう。たまにふとあの時の事を思い出すけれど、大人になって社会生活に忙殺されている人も多いでしょう。

「学校に通っていた頃の感覚ってどんなだっけ?」と記憶があいまいになっている事に、寂しさを覚えます。

そんな時に、学校生活を鮮明に思い出させてくれるのは「マンガ」です。

松井優征(まつい ゆうせい)作「暗殺教室」を読むと、友達と遊んで楽しかったことや、甘酸っぱい初恋の思い出に浸れるだけでなく、理不尽な目にあってイライラしたことや、大変だった試験勉強の記憶も蘇ってきます。

「暗殺教室」のあらすじ

ある日突然、月が破壊され、三日月状になってしまいました。

超名門進学校「椚ヶ丘(くぬぎがおか)中学校」の3年E組の担任として現れたのは、「私が月を破壊した」と称するタコのような謎の生物でした。

怪力を持ち、マッハのスピードで動くその生物は、「来年3月までに私を殺せなければ、地球を破壊する 」というように各国の首脳たちに宣言した上で「椚ヶ丘中学校3年E組の担任になる」ことを希望したのです。

意味が分からない……と思う人がほとんどでしょう。

安心してください。読者だけでなく作中の登場人物が誰一人として、この生物の意図が分かりません。

日本政府はどうやっても殺せない生物の要求に戸惑いつつも、日本の自衛隊監視の元、3年E組の生徒にこの生物の暗殺を依頼します。

そして、生物は3年E組の担任の先生、誰にも殺せない「殺せんせー」として、生徒たちを健全に暗殺者として指導していきます。

果たして殺せんせーは何者なのか、暗殺は成功するのかを主軸にした学園コメディマンガです。

理想すぎる教師像な「殺せんせー」

なにやら、訳が分からないままに、殺せんせーの授業が始まります。
しかしその授業内容はいたって真面目です。

生徒一人ひとりの得意・不得意だけでなく、趣味嗜好を把握して、それぞれの特性に合った指導をします。

それだけでなく、生徒たちの心のケアまでしてしまうのです。

「E組」は「エンドのE組」と呼ばれている、落ちこぼれたちを集めたクラスで、E組の生徒は他のクラスの生徒から差別されています。

例えば成績不振によってE組に落ちてしまった野球少年は、「E組だから」という理由で野球部を強制的に退部させられてしまいました。

落ち込みつつも、まだ野球への未練を諦められずに、密かに練習をする少年に、「憧れの選手の練習法を真似するのではなく、自分に合った練習方法をしなさい」という感じに理論的に諭しはげ励まします。

また教師不信に陥っていた生徒の危険な試し行為を、ためらいなく受け止めて、生徒たちとの信頼関係を築いていくのです。

読み進めていくうちに「私もこういう先生に習いたかったなぁ」とE組の生徒が羨ましく思ってくるでしょう。

思わず受けたくなる「テストの表現」

中間テストや期末テストは、勉強が苦手だった人にとっては、苦しかった経験の一つで、いくらマンガでも思い出したくもない、という人も少なくないでしょう。

マンガでもテストの場面は、ただ机に座っている描写やモノローグが多くなりがちですが、「暗殺教室」はテストのシーンが、バトルマンガのように……いいえ、バトルマンガそのものの迫力があります。

テストの問題がモンスターとなって襲い掛かり、勉強してきたことが文字通りに「武器」となって、このモンスターを倒していくのです。

たとえ苦手な教科(モンスター)でも、やり方さえ工夫すれば倒せる(問題が解ける)ということ、そして「難問を解いた」という快感を視覚的に表現しています。

これを見ると、学生に戻ってテストに挑戦したくなってきます。 きっとE組の生徒たちのように、楽しみながらテストに立ち向かえたことでしょう。

「あの頃」を経験した人にも、これから「あの頃」を経験する人にもおオススメ

わたしが社会人なので、当時を振り返る社会人目線で紹介しましたが、もちろんメインターゲットである「小学生~高校生」にもおオススメしたいマンガです。

マンガを読むと、誰もが「3年E組の生徒」となって、殺せんせーの授業を受けているような感覚になります。そして彼らが「卒業式」を迎える時には、自分自身も「将来」について真剣に、かつ合理的に考える力がついている事を実感できるでしょう。

もう社会人になっている人も「もう遅い」と考えるのは早計です。

「勉強」は学生だけが学校で行う事ではありません。

社会人になっても「勉強」や「テスト」を受けたり、「将来」を考えたりする機会は多くあります。

その時にこのマンガを読み返すと、自然と勉強やテストに対する心構えを作ることができるでしょう。


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