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今からでも間に合う!(いや、間に合わせる)Tokyo Tokyo FESTIVAL 助成金申請のハウツー (2/3採択事例から見る傾向と対策)


1月13日〆切、助成金上限2,000万円の助成金事業、Tokyo Tokyo FESTIVAL に募集するにあたっての募集概要をわかりやすくまとめました。長くなったので前、中、後編に分けてます。この文章はその中編、助成対象事業分析篇です。後編は明日1/5に投稿予定です。

まえはこちら↓
今からでも間に合う!(いや、間に合わせる)Tokyo Tokyo FESTIVAL 助成金申請のハウツー1/3(公募ガイドライン精読篇)

次はこちら↓
今からでも間に合う!(いや、間に合わせる)Tokyo Tokyo FESTIVAL 助成金申請のハウツー3/3(申請書執筆篇) (1/5日投稿予定)

この記事を閲覧している皆様こんにちは。しばいいぬです。
このアカウントは2020年に入り活動を開始したばかりのひよっこでして、まだtwitterのフォロワーも8人(1月日時点)しかいません。
実は昨日投稿したこのシリーズがまったく人気が出ず、閲覧数がたったの3人でした。自分でも驚きです。

その3人に言いたいことがあります。

この出会いは運命です
Tokyo Tokyo FESTIVALに
絶対に募集して下さい


この助成金は、2020年の4月1日から9月6日までで、都内で実施される企画に対して募集されています。この記事を読んで、自分が企画している作品がこの助成金に紐付けられないか、考えてみて下さい。

今回は実際の採択事業を見ることで、傾向と対策を考えたいと思います。
なお、しばいいぬはどの団体についても内部情報を知らないので、ネットで調べた範囲で見えるものになっていることはご了承ください。


過去の助成事例の概要

過去の助成事例はアーツカウンシル東京のサイトで全て見ることができます
2018年度 Tokyo Tokyo FESTIVAL 助成 第1期
2018年度 Tokyo Tokyo FESTIVAL 助成 第2期
2019年度 Tokyo Tokyo FESTIVAL 助成 第1期
2019年度 Tokyo Tokyo FESTIVAL 助成 第2期
それ以前のもの(2016-17年は東京文化プログラム助成という名称)

 したっけ、まずは採択数の変化を見ていきます。下には、いまの4つの区分に固まった2018年からのデータを出しています。

2018第1期  総予算1.30億円  募集  93件、助成事業24件 
2018第2期  総予算2.07億円  募集  62件、助成事業24件
2019第1期  総予算2.39億円  募集112件、助成事業38件
2019第2期  総予算4.50億円  募集139件、助成事業55件

今回の全体予算は公表されていませんが、オリンピックイヤーであり、最後の助成なことを考えると、前回と同規模ないしそれ以上だと予想されます。
ちなみに演劇への助成金として最も有名なのが日本芸術文化振興会の舞台芸術・美術等の創造普及活動に対する予算で、2019年度分は約5.9億円の助成を行っており、これに匹敵する規模の助成であることがわかります。

助成対象事例

次に、助成されている事業の例を見ていきます。ここで触れる事例はなかなか派手なものを挙げていくので、自分の事業に不安を覚える方もいらっしゃると思いますが、ご安心ください。
派手なものを選んだ理由としては助成側の採択理由が読みやすく、実際に申請書を書く際の指針になりやすいからです。

ここで注目していきたいポイントは、公募ガイドラインに記載されている以下のポイントです。

実現性/影響力・波及力/将来性・継承性/革新性・独創性

このポイントに注意して、企画のどの点を説明すれば、アーツカウンシル東京側が評価できるのかを見ていきたいと思います。本文はあくまでも申請書を書く側に立って解説をしていくので、実際の公演については一切言及しません。

それでは見ていきましょう

KUNIO15『グリークス』および関連事業(仮) 助成金額 495万円

画像1

説明文:10本のギリシャ劇をひとつの物語にまとめた巨大戯曲『グリークス』を、杉原邦生氏の演出で上演する。 ギリシャ悲劇に現代演劇の手法をとりいれ、世界へ発信できる作品創造を目指す。
(2019年度 Tokyo Tokyo FESTIVAL助成第1期 フラッグプロジェクト支援)

実現性
KUNIOプロデュースはここ数年で「オイディプスREX」や「夏の夜の夢」など、大きな舞台での演出の成功を収めていること。
また、「エンジェルス・イン・アメリカ」の8時間半上演の経験があり、GREEKSの計10時間に及ぶ公演の演出も十分期待できること。

影響力・波及力
KUNIOプロデュースの動員実績を具体的に述べ、予定動員が期待できる点。
10時間公演という、日本でも例を見ない祝祭性の強い公演であること。

将来性・継承性
KUNIO自体が若手の演出で、今後の演劇界を背負える人物であること。
今若手ながら力のある俳優を多数起用するという点。

革新性・独創性
新翻訳・新演出で、長尺にて上演すること。
オリンピックを翌年に控えた東京でギリシア悲劇を上演する時代性。


この作品ですが、都内での実施に限られる助成金に通ったにもかかわらず、実際の上演の助成は行われていません。
というのも公演自体が11月に京都/横浜公演で都内上演でないためです。

企画制作のたくましい努力と交渉が透けて見えるようですね、、
おつかれさまです。


学生団体おりがみ「2020 うえの夏まつり~不忍夢」 助成金額113万円

画像2

※すいません!上の画像は前年度のものです!

紹介文:日本の文化・芸術の発信拠点上野で、若者を中心として地域の子供から高齢者と共に世代を超えて楽しめる「盆踊り」を実施。地域の住民だけでなく外部から訪れる全国各地の人や外国人にも踊ってもらうことで、伝統文化「盆踊り」を東京から世界へと発信する。
(2019年度Tokyo Tokyo FESTIVAL助成第2期 市民創造文化活動支援)

実現性
大学生のサークルでありながら40大学、200人以上を擁する団体で、2016年度から毎年上野で開催している。

市民の主体性
開催場所の上野観光協会の後援がついており、大学生と協働して運営を行うことで、上野の住民が主体的に活躍できること。
地域の店舗などの店舗の出店や盆踊りなど、地元住民による多様な参加が見込めること。

参加性・広域性
日本の伝統的な盆踊りを上野公園の公共空間で行うことで、世代を超えて気軽に参加し楽しめること。

新規性・チャレンジ性
2020年の最もインバウンド客が見込めるタイミングで、外国人が最も集まる街上野で、外国人の方も参加できるような盆踊りのお祭りを行うこと。


結論
この二つの企画を見ることでわかることは、どちらも企画のコアコンセプトが良く、そのコアをしっかり実現するような運営などをしっかり行えているという点です。
グリークスの場合は10時間もの祝祭性のある演劇、
おりがみの場合はだれでも参加できる日本の伝統である盆踊り大会、
このコアコンセプトをしっかり伝えたことが、採択の理由になったと考えられます。

ここから得られる教訓は次の点でしょう。
これから申請を考える方は、まずは自分の企画のコアコンセプトが何かを考えること。
そしてインパクトがどのような方面に対してあるのかを考えることです。


明日はいよいよ申請書執筆編です。この文章は以上ですが、支援してくれるという方がいらっしゃったら非常に喜びます!

したっけ

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