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ZEISS Batis 2/25

 昨今、デジタルカメラの売上低迷に伴い、カメラ業界の生き残る道は何か、非常に難しい問題です。日本国内大手と言われている老舗カメラ会社でさえ、国内工場の撤退や事業売却を余儀なくされています。そんな中、サードパーティ製の製品を受け入れることは生き残りを賭けた1つの可能性ではないかと私は考えています。
 私がミラーレスカメラ「α7Ⅲ」に乗り換えてから約5年が経過しました。この5年間で何本か新しいレンズを購入しましたが、SONY純正のレンズについては一本のみ。これはSONYのレンズが劣っているという訳ではありません。むしろGMと呼ばれるシリーズは画質の極みを追求した様な写真が撮れると聞きます。では何故、SONY製のレンズを買わないのか、理由は簡単です。高いから…。と言ってしまえばそこで話が終わってしまいます。もう少し解説しましょう。
 昨今のミラーレス市場は新規からか、それともユーザとして相手にされていないからか、購入者の減少からかは分かりませんが、20万近いレンズがひょいひょいと売られています。では安いレンズを買おうとなった場合に選択肢として上がるのがサードパーティ製のレンズです。SONYはその辺りをうまくやっていまして、早いうちからサードパーティ製のレンズが市場に出回っています。お陰で中古市場もそこそこ豊富でして、かなりお安い値段で購入が出来ます。メーカとして自社の高いレンズを売りたいというのは重々承知ではあります。ですが若い人が安いレンズを買いたがるのは世の常でしょう。これはある種の社会問題か何かと思いますが、今回の私の愚痴の一種とでも思って頂ければと思います。あとは純粋な興味の問題ですね。仕事で使うとなれば純正レンズが最適解でしょう。ですが私にとってはカメラは趣味の世界です。どちらかと言えばアートな作品に仕上げたいとも考えています。そうなれば周りとは異なる、癖のあるレンズを選びたいというのも本心のひとつです。

使用感

さて本題のレンズですが、ついに老舗メーカのレンズが登場です。まず、特筆すべき点ですが、フード込みの美しい見た目です。滑らかな曲線がフードまで緩やかに繋がっています。逆にフードを外してしまうと非常に中途半端な見た目になります。Zeiss設計者の「レンズはフードを付けて使うもんだ!!」という圧力を感じるのは私だけでは無いはずです。

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個人的には、使用していないレンズ上面の有機ELディスプレイですが、電源投入時、撮影時の表記が良い感じです。使用するかは別としてオタクにとってはワクワクするポイントでは無いでしょうか?

 さて、Zeissと言えば気になるのがレンズ設計ですがこちらのレンズは古き良きZeiss光学設計の一つである「Distagon」型となっています。「ディスタゴン」とはwikipediaの説明を引用しますと以下の説明となっています。

ディスタゴン(Distagon)は、ドイツ連邦共和国(西ドイツ)のエルハルト・グラッツェルにより開発された逆望遠型広角レンズに使われたレンズブランドである。バックフォーカスを大きく取れるためビオゴン型の使えない一眼レフカメラ用に多く見られる。名称はディスタンス(距離)とゴン(角度)から。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 要は広角レンズにおいて、昔から広く使われている設計という訳です。

撮影感 

 肝心の写りはどうかと言いますとさすがはZeissです。コントラストが高く美しい風景写真が撮れます。色乗りが良すぎて、逆に彩度を落とす現像をした程です。まずはその描写の良さが分かる一枚です。

SONY α7 Ⅲ
ZEISS Batis 2/25
f/8
1/1000s
ISO100
25mm

 写りとしては何となく一眼レフ時代を思わせる雰囲気で、コントラストが濃く、こってりな色合いです。SONY系カメラのスッキリとした雰囲気と合わさり何とも不思議です。ただ古いレンズとは違い、逆光耐性は昨今のレンズらしく目を見張るものがあります。上の写真もゴーストやフレアが出るかと思ったのですが、全く問題なく驚きました。

SONY α7 Ⅲ
ZEISS Batis 2/25
f/4
1/125s
ISO3200
25mm

 雨の兼六園を撮影しました。私の勝手な印象ですが、古いEOS系の雰囲気を感じます。特に緑色系は濃くなる印象です。それでも暗部は黒く潰れてはおらず、ダイナミックレンジの広い「α7Ⅲ」との相性の良さを感じます。解像感については昨今のレンズの中では群を抜いているでしょう。拡大してみると細部まで精細に写し撮っています。 

私雨男なので旅行へ行くたびに雨に当たるのですが、レンズをテストするには良いかも知れません。

SONY α7 Ⅲ
ZEISS Batis 2/25
f/3.2
1/160s
ISO100
25mm

 長野市に面白いお店がありましたので撮影しました。看板の文字はもちろんですが、細部の錆やインクの欠けなどもはっきりと分かります。
 若干の広角レンズ特有の歪みはありますが、補正を入れなくても大きくは気になりません。もし気になるようであれば、お使いの現像ソフトでワンクリック修正できる良い時代です。上記写真には看板を平に見せる為に補正を加えてあります。色にもちょっと手を加えてみたのですが、元のデータが良い為か、良い感じに昭和風になり気に入っています。

SONY α7 Ⅲ
ZEISS Batis 2/25
f/5.6
1/500s
ISO500
25mm

 紅葉を撮影してみました。赤+青+緑を撮らせたら最強ですね。写真はほぼ撮って出しです。拡大すると葉脈の一本一本まで確認できます。太陽光が強烈に当たっている部分も白飛びせずに葉脈が残っていますので、素晴らしい粘りですね。特に色物が美しく撮れますので、風景写真にはもってこいのレンズでしょう。

使用の経緯

 カメラを始めたら一度は使用してみたいのが「Ziess」です。私もそのうちの一人で、この度使用させて頂きました。結果としてはフードを含めた素晴らしい設計思想、妥協の無い光学性能で大満足でした。ですが…既に手元には残しておりません。
 手放した理由としてはただ一つ、25mmという画角が考えていたよりも広かった。それが私にとっては使いにくく、広角の状況説明的な撮影は環境が明るければiPhoneで事足りると思ってしまったのです。写真の本質は引き算とよく言いますが、広角レンズではそれが難しく、普段の付けっぱなしレンズとしては使いにくかったのです。

まとめ

 レンズ遊びとは試してみないと分からないことが沢山あります。特に自分の得意な画角、苦手な画角なんかはやってみないと分かりません。幸いレンズという道具はリセールバリュが高く、近代の製品であれば大きく値崩れしにくいと私は思っています。更に最近は機材のレンタルなどもやっておりますので、迷った際にはレンタルで試してみるのもアリです。お金は無限ではありませんが、良きカメラライフを送ることを心より祈っております。

作例

SONY α7 Ⅲ
ZEISS Batis 2/25
f/5
1/200s
ISO100
25mm

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