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【詩】 氷菓

無我夢中で食べた
冷たい現実
身体は冷えるばかりで
感覚を奪う
また口に放り込む
溶けない夢

もういっそのこと
終わりにしてしまえたら
どんなに楽だろうか

もういっそのこと
溶けてしまって跡形もなく
消えてしまえたのなら

口の中に残る酸味が生きる証だと言って
上澄の甘みを掬いとって見せた
蝕まれていく身体は動かなかったけれど
どうせ時計仕掛け 笑い飛ばした

溶ける 溶ける 甘い夢
叶わないままで 守り続けた
溶ける 溶ける 苦い過去
誰かの思いだけを 再生して

凍ったままの
ここにある全てを 抱きしめた
失い続けたのに
ここにいる証だけは 溶けなかった


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