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年金の勧誘をするケイちゃんと、それを断るセイくん

【プロフィール】
ケイちゃん:国家公務員の20代後半女性。年金についてお仕事をしている。
セイくん:無職の20代前半男性。ケイちゃんは大学の教授から紹介された。


ケイちゃんから久しぶりにメールが来た。

ケイちゃんはボクが学生だったときに、ゼミの先生から紹介された人だ。
同じゼミの卒業生で今は国家公務員として働いているらしい。
「気軽にケイちゃんって呼んで。」と自己紹介していたので、
ケイちゃんと呼んでいる。
「君はよく喋るからセイくんって呼ぶね。」と決めつけられてしまった
ので、ゼミ内でもセイくんと呼ばれるようになってしまった。
自分から喋る性格じゃないと思ってるからこの呼ばれ方は正直好きでは
ない。でも、ケイちゃんは自分がいたゼミでカリスマ的存在らしく
影響力が半端ないから、半分あきらめている。
そんなケイちゃんとゼミの飲み会で連絡先を(半ば強引に)交換し、
ゼミでの振舞い方とか、あの先生と仲良くした方が良いとか、毎日のように
メールが飛んできていた。まあ、ボクは流し読みしてすぐ削除していたが。

話を戻すと、ボクが大学を卒業後、ケイちゃんからパタリと連絡が来なく
なり、その存在を忘れかけていた頃、突然メールが来た。
「大丈夫?????」というメールの件名だったので、思わず開いて
しまった。自分が今働いてないことをボクの同級生がチクったらしく、
「焼肉奢るから、お話ししましょう。ケイちゃんより。」とだけの内容
だった。「そういえば、当分の間焼肉を食べてないな。」って思って、
適当に話を聞くだけで焼肉が食べれるならと、魔が差したとしか思えない。
「行きます。」と返信してしまった。


「ここの焼肉屋さん、閉店前に賄いで半額の値段でたべられるのよ。
 あ、すみませーん。いつものダージリンのアイス下さい。ケイくんも
 同じでいい?じゃあ、ダージリン2つね。」
いきなりケイちゃんのペースだ。
「大学の頃と同じ感じで気軽にお話しましょ。」とか言われたけど、
何か、かっちりスーツ着ているし、(そのくせ開襟ワイシャツかよ)
国家公務員が付けているカラフルなバッジ(?)も付けているし、
完全に仕事のグチ聞かされるヤツだ。とか思っていた。
「大学のようには出来ませんよ。」
「実は、この会話こっそり録音させてもらっているから。」
出た。ケイちゃんいつもカメラかICレコーダーを忍ばせてるからな。
「ここの胸ポケットにあるペン。これよ。これ。」とわざわざ体ごと
近づけて見せてくれた。
なるほど。直視しづらい所にスパイカメラを忍ばせてるんか……。
あ、いやいや、完全にケイちゃんのペースに乗せられてるじゃないか。
「本当に高いツボとか買わされるんじゃないんかな……。」と思ってたら、
「こういうカメラが付いてるのって、昔、すごく気になってたの
 よね……。」
と、少し虚ろな表情で語りだした。
「今から、そうね、10年位前かしら、こういった『録画中』と言った赤い光 
 が光ってるの見えてるとか、後なんか、カメラっぽいのとか、なんか、
 こういうメモ帳とか、そういったものを見てしまうと、
『何か、周りに見られてるんじゃないかな?』みたいなことを妄想していた
 時期があったの。」
意外だった。ケイちゃんとか、完全に気丈に振舞っていた所しか見たこと
が無かったから、突然の独白に驚いた。
「それで、就活とか、大学の卒論とかで忙しくなって、その時に、海外大使
 が日本にやってくるということで話題になったじゃない。何か、その時 
 に、すごくセキュリティポリスとかが沢山囲んでいるのを見て、それが
 どのテレビ局も盛んに報道していて、みんなの目線が一気にばーっと
 されているのを見て、そこから、自分もそんな風に見られてるかも
 しれないって、妄想が頭を支配して、簡単に言えば狂ってしまって、  
 で、もうダメだって感じになって、精神科の病院送りになったって感じ  
 なんだよね。」
訳が分からない。なんでそんな弱気の発言とか、まるで自分が障害者である
かのような話をしてきてるんだろう?騙りとしては、リアルすぎるし、
そんなことを言った所で、「それは大変だったですね。」位のことしか
思えない。ケイちゃん、本当に何考えてるんだろう?


ケイちゃんの独り言は続く。
「まあ、そんな話はいつでも出来るから良いんだけどね。」
なんじゃそりゃ。でも、さっきここに思っていなかったことを言わずに
済んだのは良かった。
「まあ、そんこんなやっている中で、大学の先輩から、『障害年金受けて
 みない?』って言われて、『ああ、じゃあ、そうだな、受けてみよう
 かな。』って思ってかかりつけの相談員や社会福祉士とか精神保健福祉士
 とか、一般には「ソーシャルワーカー」と言われてる方ね。私は今も通院
 しているから、ソーシャルワーカーさんとも定期的にお話はしていて、  『障害年金受けれますか?』って聞いたら、『ケイちゃんなら行けるかも   しれないですね。』って言われたから、決意したの。」
『障害年金』の「障害」はともかく、「年金」というのは少し引っかかる。
ははーん。
やっぱり年金払わせる話か。とか思っている内にも、話は続く。
「それで、年金事務所に行って、『とりあえず、この書類とこの書類を
 揃えて下さい』って言われたわ。そんなに拒む感じじゃなくて、意外と
 親切にして下さったの。」
そりゃ、あんたの立場じゃそうだよ。同じ系列の仕事してるから良いように
言うでしょ。と思っていた。のちに、他の友人に聞いてみたら、実は同業の
人ほど自分が不利な状況をバラしたくないからって申請しにいかないそう
だ。まあ、でもケイちゃんは口が達者だから、陰でそう言われても大丈夫
だったのかもしれないけど。
「で、書類を揃えることにしたんだけど、まず、最初に罹った病院に初診日      
 証明と当時の診断書を取りにいかないといけなかった。今の病院とは
 違ったから、大変だったわ。で、今の病院の診断書も書いて頂いた。
 あと、これが大事なんだけど、自分の病気のことについてのあらましを
 書いたものを書かないといけなくて、小学校のとき、中学校のとき、 
『こんなことできませんでした』と。いわゆる”できなかったことリスト”
 の作成ね。まあ、怪文書が出来たわ。ちなみに、今の会社の上司にその
 怪文書を見せたら、『うつ系の小説読んでるみたいで面白かった』って
 言われたわ。そして、その他もろもろの書類を揃えて、年金事務所に
 提出したの。」
 その文書、僕は読みたくないですね~。とか、適当に返していたら、
 「3か月ぐらい待って、その間そわそわしてたの。で、障害基礎年金2級が
 通った。ついでに言うと、遡及請求というのにも申請していたから、
 5年遡って貰うことが出来たわ。1年間の年金が老齢基礎年金の1年間の
 満額と同額ね。車に例えると普通車は買えるわね。ふふふ。」
思わずつられて笑ってしまった。
「まあ、調子に乗るよね。いいパソコンを買ったの。VR機器も買った。
 何ならテンションがハイになっていたからパソコンのプログラミング
 スクールにもお金を振り込んだから、一気に半分ぐらい使ったわね。
 さすがに『おかしい』って親に言われて通帳取り上げられたわ。」
そういえば、一時、通販とかいっぱい買ったのをSNSに投稿していたのを
思い出した。
「今思えば、若気の至りってやつ?まあ、でも、そのおかげでパソコンが
 買えて、今の仕事に就いたから、いいんだけどね。お金の管理も親の管理
 でしっかりしているし。」
あれ?ケイちゃんって、国家公務員じゃなかったっけ?バッジとスーツと(開襟シャツ)は何なの?「まあ、自分のお金だからいいんじゃない
ですか?」テキトーにあいづちをしておいた。
「そういえば、セイくんってどこからお金を仕入れているのかがどーして
 も知りたくて。」
やべぇ、「返報性の心理」ってやつや。「私のこと話したから、あなたも
話して?」ってやつだ。まあ、それ抜きにして、すんごい目をキラキラ
輝かせて前のめりになって聞いてきたから、しょうがないなー。
って思って、話をすることにした。


「何で知ったんかな?これ。どうしたんかな。ああ、教えてくれる人がいた 
 からだね。」
実は、働かなくなってから、チクった同級生と同じゼミの人の家に転がり
込んでいて、その人から色んな福祉のことについて教えてくれたのだ。
その人、口が堅いからチクった奴にチクることは無いと思うけど、その人
社交的だから、言わんでも伝わったんかな~とか何となく思っていたら、
「具体的には何とか給付金とか支援金とか名称知ってる?」
と聞かれて、ああと気持ちが戻り、
「初めに20万のやつが、総合資金の緊急小口」
「コロナのやつ?」
「コロナのやつ。はじめに20万貰って、というか、借りてて、そっから月々
 借りれるのが、特例貸付だったかな?」
「特例貸付?」
「総合支援資金特例貸付、だったと思うんですけど。それで、ずっと続けて 
 る感じです」
「へー。」
なんか、「素人質問ですが……。」みたいな、知ってんのに知らないふり
して聴いてんじゃないんかな~。国家公務員って本当にホントなのかな?
「これは別に、お金がなかったら誰でも借りられますけど。僕、貯金1万
 しかないんで。」
とケイちゃんに対して牽制しておいた。
「あ~、なるほど、なるほど。」
とケイちゃんは返事してきた。やはり、胡散臭さが残る。
「それって市役所の福祉課かな?」
って聞かれ返されたので、「やっぱ知ってんじゃん。」と思った。
でも、ここは話の流れを切るのはマズいなとと思ったので、
「ああ、そうですね。」と生返事をした。
「社会福祉課かな?」
尋問みたいで、少し怖い。
「そうですね、福祉センターにある。なんやったかなー。ハローワーク
じゃなくて。」
「社協ですかね。」
「ああ、たぶんそれですねー。」
「ひまわり?ああ、あれは障害者福祉の方かー。」
へ?って返事をしたから何か気まずそうに応えてたけど、障害者福祉
センターの名前が出てくるんだろう?まあ、僕はそもそもその福祉センター
の名前は知らないんだけどね。
「あ、そうか、同じ建物に有ったわね。そういえば。」
「同じ所なんですかね?」
「同じところだと思うよ?」
「あー。なんか市役所に言ったら、とりあえずそこに行けと言われて。」
「はいはいはい。」
「生活保護を受ける前に、それを借りろ。と。」
「それを借りろ。とね。」
「市役所の人に、お金ないんなら、お金借りろと言われたんですよ。」
「へー。でも、面白いな。」
いや、おもしろくないって。こっちは、お金借りてる身だから。ムッと
している様子を見たのか、
「いや、昔は、お金なかったら働けだったから。」
「もちろん、ハローワークにも行けと言われましたけど、まあ、別に借りて
来いと言われて。」
「まあ、時期が時期だからという感じでね。」
そうなんだよね。今は、伝染病のせいで自由に外出が出来ない世の中だ。
今回も食事そっち言われてみれば、そうだった。自分が住んでいる所は人口密度が低いからマスクを付けなく
普通にマスクを外してべらべら喋っている。「ここのお店は、そういう
硬いとこじゃないから。だって、みんなマスクしてないでしょ。」
言われてみれば、そうだった。自分が住んでいる所は人口密度が低いから
マスクを付けなくても良いことになっているが、それでもお店の中では自粛
してマスクを着けている。

「そんとき、丁度、僕、バイト辞めた時期で、自分で辞めたんだけど、伝染病のせいで辞めたという形で。」
と言うと、周りのお客さんが笑ってくれた。ケイちゃんは本当に僕のことを
思って声を掛けてくれたんかな?と、少し心が動き出してしまう。
「くれたらええのにね。貸付って。」
「ん-。まあ、タダで貰えるのはねー。」
ケイちゃんは首をかしげながらそう言った。
「生活に困ってる人に対しては、貸付で、障害を持っている人には年金
 という形で、渡し方が違うよね。あ、でも、そっか。障害も年金という形 でお金を支払っているから貰えるんだ。」 
そのとき、僕は疑問に思った。「年金が支払われてるってことは、
もう年金を納める必要がないんじゃないか」って。
そこで、「年金って、免除じゃないんですかね?」と聞いれてみた。
「任意で払ってる。だって、そうじゃないと高齢になった時に、年金が
貰えなくなるから。」といっていた。どうやらケイちゃんの話によると、
障害年金が給付になった段階で、年金の納付は免除になるらしい。けど、
高齢になった時に年金を受け取れる額が半分になるそうだ。障害年金は
精神障害の場合いつ受け取れなくなるか分からないとも言っていた。
よく分からないがとても熱心に「かたって」いたように思う。
「3万入れたから10万貰える。それだったら最初から7万くれたらええ
 のに。」と僕はケイちゃんにそう言ったが、「ふふふ。」と笑われて
しまった。「そっか、だから生活保護なんか。」と、自分でそう言った。確かにそうだなーと。
「結局生活保護は受けてないの?」とケイちゃんに言われたので、
「特例貸付で、月に15万円を3か月。その後、延長されて、もっかい、
 10万を3か月。で、また延長される。合計9ヶ月で、で、また合計30万
 ぐらい借りれるかな」なんか、最初に言った数字と違う気がするが、
 どうせ覚えてないから適当に言った。
「延長が2回あったの?」
「延長が2回あって、3か月から、6か月と9ヶ月。」
「うんうんうんうん。」
「これで、また、生き延びれることに。」
「ふふふ。」
「これが、返済の期限が1か月後、2ヶ月後と、ずるずる延びていって。
 今年は生きれることになりました。確定で。来年は分からんけどね。
 100万ぐらいパッと使ってなくなってるかもしれんし。」
「ということは、借りたお金だから、返さなきゃいけないということ
 だよね?」
「らしいっすね。」
ケイちゃんが何で知らんのか知らんけど。
「返さなきゃ行けない義務を放棄すんだよね?」
冗談じゃない。多分自己破産について言ってるんだと思うんだけど、
僕はそういうことによって制限がかかるのは好きではないし、なるべくなら
きちんと返済したい。生活保護のお金で返済したいと言ったら、
「生活保護で借金を返すっていうのはあんまりよくないと思う。だって、
生活保護は『健康で文化的な最低限度の生活』を送るためのお金だから、
借金は想定してないんじゃないかな~。」と言われた。
でも、働けなくて生活保護を受けてたら、そんなに費用かからんから返済
できると思うんだけどな~。
「国に入ったお金を国に返すってなんかおかしくない?」
「言うて、障害年金と変わらんのじゃないですか~?それに、自己破産する
 なら、もっと借りてますよ。」
「それはそうだね~。」
「頑張って会社を建てて、大量にお金を借りますけどね。」
「ま、でも、借りられないけどね。」
「自己破産しないのはしないです。」
「確かに、私が生活保護を受けないのと同じだからね。あ、そろそろ
 半額サービスの時間ね。」
ここで、僕は、つい、思わぬことを聴いてしまった。
「あー、でも、障害年金が貰えるなら貰いたいですけどね。どうやって
 貰えるんですか?」
「それだったら、貰い方をレクチャーしましょうか?」
貰い方ってレクチャーできるようなものなの?国家公務員なら知ってそう
だけど、普通それってあまり人に教えるようなものじゃないけどな~。
と思いながら、レクチャーを聴くことにした。

6
「えっとね、発達障害でいける。診断書書いてもらってね。でも、心理
 が必要なんだよね。」
「心理って何ですか?」
「心理は、初診日の確定で必要になって、多分発達障害があると思うんです
けど、『検査させて下さい。』っていうものだね。」
「それってどういうものなんです?」
「知能検査がある。えっとね、数字をこれから言います。で、それを時間を
 空けて復唱してくださいっというものですかね。あとは、逆から言って
 いくみたいな。」
知能検査って難しいんだな~。と思った。
「あとは、『この絵を見てあなたはどう思いますか?』とか。」
「うわー。一番苦手だ。何にも思わないんすけど。」
「それと、『概念』について説明してください。というのもありますね。」
思わず笑ってしまった。
「いやー、無理無理。「概念」は「概念」でしょ。」
「もうちょっと易しめのもあるんですけどね。「楽しい」とは何ですか?
 みたいな」
ここで僕は悟った。発達障害なんだって。
「あと、「りんご」は何ですか?みたいな」
「赤い丸しか出て来ませんね。」
「まあ、そんな感じで、言語性のIQと、で、あとは、動作性のIQっていう、
 何かをするときに処理して実行するという、のがあって、それにバラつき
 があるとか、全体的に低いとかそういったことで発達障害があるかないか
 が分かるっていう、そういう検査が一般的な検査かな。」
「それって、ウソつけば余裕で発達障害って出るんじゃないですかね?」
「いや、ウソついたらね、ウソついてますってバレる。」
「へー分かるんですね。」
というか、そもそもIQを取る必要性ってなんでなんだろうと心に思い
ながら聞いていた。別に良い人とめっちゃいい人との差によってものさし
として役に立つんかなーって。
「なんか、ある検査の項目で、「ううん、わからん。」みたいなことしたら
 良いんじゃないの。」
「でもね、それをするとね、他の検査の時と矛盾が出るんよね。」
「その手の検査は、ウソをつかないことがポイントですね。」
それだったら、メチャクチャ得意ですね。とか言ってたら、ケイちゃんは
笑っていた。
「障害年金をもらいたかったら、まずはそれをやることが大事。で、診断名
を受けて、1年半待つ。」
1年半?なんでそんなに時間が掛かるんだ。
「1年半の間に、まず、6か月たったら手帳の申請ができる」
ちょっと、情報量が多くて混乱してきた。6か月とか、1年半とか、障害年金
とか、手帳とか、何か色々言われてるなー。地雷踏んだかな?
「手帳を受けたら何が良いかというと、色んな福祉的サービスが受けられる
 という点ね。例えば、映画が1000円で観られるとか、軽自動車税が減税
 になるとか。」
「車検って免除になるんですか?」
「車検はちょっと難しいかなー。」
「じゃあ、意味ないですね。」
「バスとか半額になるよ。」
「いや、バス使わないんで。」
「というより、なんで6か月とか、1年半とか待たないといけないんですか?
 めんどくさいんですけど。」
「うーん。病気だって認定されるのに基準があって、だいたいそれぐらい
 継続しておかないといけなくて、病院にも通う必要があるねー。」
「それ、めんどくさいですわ。聞いてみたんですけど、
 やっぱめんどくさいですね。そうしてもらえんのですかね。」
「……。」
ケイちゃんは黙ってしまった。
僕はそんな問い詰める感じでは無かったけれども、めんどくさいから年金の
申請はしたくないというのがケイちゃんにとっては意外だったんかな。
その後、ラストオーダーが来て、ケイちゃんは何も頼まなかった。僕も、
何かお腹いっぱいな感じがして頼めなかった。その段階で、お会計すること
になって、「今日はありがとうね。」と言って、足早にケイちゃんは帰って
行ってしまった。
結局、何がしたかったのか、僕はよく分からなかった。それっきり、
ケイちゃんから連絡が来ることは無かった。(了)

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