綾辻行人『迷路館の殺人〈新装改訂版〉』を読んだ
2020.1.20 の読了本
綾辻行人『迷路館の殺人〈新装改訂版〉』(講談社文庫、2009)
ひと月近くも前に読み終えた本をずっと放ったらかしていました。反省。まあともかく憶えていることだけ書いてみよう。ちなみに2009年というのはあくまで〈新装改訂版〉が出た年であって、もとのノベルスが上梓されたのは1988年です。もう30年以上も経つわけだ。ひょええ。
ご存じ「館シリーズ」の第三作である。シリーズものはなるべく一作目から着実に読んでいきたいタイプなのだが、しかし気が向いたときにしか読まないので一向に進まない。たとえば東野圭吾の加賀恭一郎シリーズなどは、二作目の『眠りの森』を読んだきり長らく塩漬けにしていて、いまだに『どちらかが彼女を殺した』に手を出していなかったりする。このペースではいったいいつになったら『祈りの幕が下りる時』に辿りつけるのだろう。まあそのうち読みますよ、そのうちね。
さらに付け足すと、ドラマ化・映画化された作品にはできるだけ原作を読んでから臨みたいと思っていたのだが、そんなことをしていたら録画番組のHDD容量はすぐに足りなくなり、劇場での公開期間はとっくに過ぎ去ってしまうことを知ったので近頃はさほどこだわらなくなった。(しかし阿部寛のシリーズはまだ観ていないのだけれど。)
(いまリンクを張って知ったのだが、『祈りの幕が下りる時』が文庫化したのって2016年なのか。昨年か、せいぜい一昨年のことだと思っていた。時間の経過はどうやらわたしが想像しているよりも速いようだ。悠長に構えている場合ではない!)
閑話休題。そういえばこの3月いっぱいで乃木坂46を卒業するというあの佐々木琴子ちゃんもいままさに「館シリーズ」を読んでいるらしい。先月末(2020年1月)の時点で『時計館の殺人』まで読了したとのこと。まだ頑張ったら追いつけるかな。
ふたたび閑話休題。ようやく本題に入りますが、あらすじなんかは調べればいくらでも出てくるので敢えて書くことはしません。うっかりネタバレを踏まないように気をつけつつ検索してみてください。
半分くらいは見破れたんですがね。見立て殺人の仕掛けは順当に考えればまあそうなるしかないわなという展開で特に驚きもなかったし、本文中でいわれる「首切りの論理」についてもばっちり読めたのだけれど、しかしそれきりだった。そこから真犯人を言い当てたり、事件の全体像を見通したりはできなかったのだ。とりわけ真犯人の正体についてはまんまと引っかかってしまった感がある。生き残った容疑者のうちであの「首切りの論理」から導ける犯人像に当てはまる者はあの人しかいないはずなのに、まさかあんな抜け道があるとは思いもよらないよ。わたしの誤認したあの人のがああいう設定だったのも、きっと意図的だったのだろうね。
ネタを割らないように気をつけて書くとこんなふうに奥歯に物が挟まった物言いになる。もっと上手に書ければよいのだが。まあ何事も訓練と経験だ、いずれ上達するだろうと楽観視しております。
次の作は『人形館の殺人〈新装改訂版〉』。その次がさっき話題にした『時計館の殺人〈新装改訂版〉』、これは文庫で上下分冊になっている。そして「館シリーズ」は、いまのところ第九作『奇面館の殺人』まで出ていてどうやら噂によると十作でシリーズ完結らしい。綾辻さんは昨年ようやく「Another 2001」の連載を完結させ(めでたい)、今年のうちにはその単行本が出る予定だ。単行本化の作業が一段落したら「館シリーズ」最終巻の執筆に入るのじゃないかとわたしは期待している――し、わたし以外にも期待する声はちらほら聞こえる――のだけれどどうなることか。
最終巻が出るまでにはなんとか既刊をすべて読みおえておきたい。果たして間に合うかしら。
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